米国における健康保険の課題
コストの問題
2010年時点で、米国の健康保険最大の課題はそのコストです。GovSpotの調査によると、米国の労働者は所得の5分の1を医療費に費やしており、先進工業国の平均の約2倍に相当します。米国医療サービスセンター(CMS)は、2016年の医療費総額が4.3兆ドル、GDPの20%に達すると予測しています。このような支出増加の結果、Public Agendaのデータでは約4700万人が保険未加入状態です。高額な支出にもかかわらず、健康指標は必ずしも向上していません。たとえばCDCの2008年の調査では、米国の乳児死亡率は先進国28カ国よりも高いことが示されています。
既往症(既存条件)への対応
保険会社が既往症を理由にカバーを拒否するケースが多く見られます。AIDS、がん、進行糖尿病など、生命に関わる疾患を抱える人々は、保険加入時に既に診断されている病状が原因で、治療費が全額自己負担になることがあります。結果として、保険未加入の状態で病気にかかった人々は、最も必要とされるタイミングで医療サービスを受けられないという深刻な問題が生じています。
政府の関与と制度比較
多くの国では何らかの形で健康保険を補助しています。イギリスでは国が直接医療費を負担し、全市民が無料で受診できます。欧州諸国の多くは所得や年齢に応じた補助金やバウチャーを提供し、民間保険と組み合わせた形で普遍的な医療アクセスを実現しています。こうした制度は「ユニバーサルヘルスケア」と呼ばれ、2010年時点で欧州やアジア、南米の多数の国が採用しています。 米国でも同様の動きがあり、2010年3月にバラク・オバマ大統領が「Affordable Care Act(オバマケア)」に署名しました。この法律は全米民が健康保険に加入することを義務付け、低所得層には保険料の補助を提供することで、事実上のユニバーサルヘルスケアを目指しています。
