子どもの不安に対する薬物治療と保護者のサポート
診断
精神保健の専門家が、子どもの不安の原因となる生物学的、心理的、家族的、社会的要因を総合的に評価します。基礎疾患の除外、日常生活への支障の程度、カフェインや薬物の影響も確認します。分離不安は親や家庭から離れることへの恐怖、社交不安は対人関係の問題、登校拒否は学校へ行くことへの強い不安が原因です。複数の場面で不安が広がっている場合は全般性不安障害と診断されます。併存しやすい障害として強迫性障害やパニック障害があります。
治療
治療の主な目的は、子どもの苦痛を和らげ、日常生活に支障をきたす感情・行動の影響を最小限に抑えることです。症状が軽度の場合はまず心理療法が選択されます。重度の場合は不安やうつ症状を軽減するために薬物療法が併用されます。子どもの不安に用いられる薬は大きく分けて「不安軽減薬」と「抗うつ薬」の2種類です。
不安軽減薬
不安は脳内の過剰な神経活動が原因と考えられており、これを抑える薬が不安軽減薬です。第一選択薬はベンゾジアゼピン系で、神経伝達物質の抑制作用を高め、鎮静や筋弛緩をもたらします。代表的な薬剤は「Xanax(アルプラゾラム)」「Ativan(ロラゼパム)」「Valium(ジアゼパム)」「Klonopin(クロナゼパム)」です。ベンゾジアゼピンは眠気や依存のリスクがあるため、慎重に使用します。中等度の全般性不安にはベンゾジアゼピン以外に「Buspar(ブスピロン)」が選ばれることがあります。ブスピロンは眠気が少なく、依存性も低いとされています。
抗うつ薬
抗うつ薬は大きく「非定型抗うつ薬」「三環系抗うつ薬」「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」の3群に分かれます。副作用が比較的少ないSSRIが第一選択とされ、セロトニンが脳内で再吸収されるのを阻害し、神経伝達を増加させて気分を改善します。SSRIは不安やうつに関与する脳領域の過剰な活性化を抑える効果も期待されます。主な薬剤は「Prozac(フルオキセチン)」「Zoloft(セルトラリン)」「Paxil(パロキセチン)」「Lexapro(エスシタロプラム)」「Celexa(シタロプラム)」「Effexor(ベンラファキシン)」などです。
保護者の役割
子どもが処方された薬を規則的に服用できるよう、保護者は管理・監督が必要です。薬は強力で、急に中止すると離脱症状や痙攣が起こることがあります。また、薬の副作用や食事制限について正しい知識を持ち、異常があればすぐに医師に相談できるようにしましょう。
