1950年代のロボトミー:歴史と社会的反応
ロボトミーの歴史は、1890年代頃にドイツの研究者フリードリヒ・ゴルツが犬の側頭葉を切除する実験を行ったことに端を発します。実験結果は、犬の攻撃性が低下したというものでした。1930年代初頭にはこの手術法が精神科患者にも応用され、特に1940年代後半に広く処方されました。しかし、1950年代半ばになると報道による批判が高まり、一般の支持は急速に失われました。
使用の増加
報道が否定的な見方を示す一方で、1950年代初頭のロボトミー使用は増加しました。これは、エガス・モニズがこの手術法の開発でノーベル医学賞を受賞したことが大きな要因です。ノーベル賞受賞によりロボトミーは一種の正当化された治療と見なされ、犯罪行動の抑制や疼痛軽減に効果があると報じられたことで、さらなる普及が促されました。
経眼ロボトミー(トランスオービタル)
1940年代後半、ウォルター・フリーマンは氷のピックや類似の細長い器具を患者の眼窩上部に叩き込む「経眼ロボトミー」を提案しました。この手法は1950年代初頭に急速に広まり、従来の開頭手術に比べて手術時間が短く、比較的安全とされました。当初は最終手段として用いられていたロボトミーですが、フリーマンは精神疾患の初期段階でもこの手法を推奨し、使用範囲を拡大しました。
衰退
1950年代半ばになると、ロボトミーはメディアから激しい批判を受けました。副作用や後遺症に関する報道が増え、手術の急速な普及に対する懸念が広がりました。さらに、抗精神病薬や非侵襲的な身体療法といった新しい治療法が登場したことにより、外科的切除の必要性は次第に減少しました。フリーマンは依然としてロボトミーの有用性を主張しましたが、支持する論文は減少し、代わりに新しい脳外科手術や薬物療法を推奨する記事が多数掲載されました。
世論の反応
1950年代初頭にロボトミー件数が増えるにつれ、一般市民の抗議運動が活発化しました。研究によれば、手術を受けた患者の多くは改善せず、むしろ症状が悪化するケースも報告されました。この事実に対し、世間は強い怒りと反感を示し、ロボトミー推進者への批判が高まりました。シペンバーグ大学の心理学名誉教授ジョージ・ボリー博士によれば、フリーマンの同僚であったジェームズ・ワットでさえ、手術が過度に処方されていると指摘していました。
