ティーンエイジャー向け薬物・アルコール評価とスクリーニングツール
メンタルヘルスの専門家は、クライアントに対する治療提案を行う前に、アルコールや薬物の乱用・依存の可能性を把握するために評価・スクリーニングツールを使用します。これらのツールは目的や質問数、取得できる情報の深さが異なります。2010年時点で、10代向けに特化した20種類以上の薬物評価・スクリーニングツールが存在し、医師・セラピスト・ソーシャルワーカーは、問題が疑われるティーンエイジャーとの詳細な面接に入る前に、これらのツールのいずれかを活用しています。
薬物・アルコール評価
クライアントが複数の依存症を抱えている可能性があると判断した場合、メンタルヘルスの専門家は薬物とアルコールの両方を対象とした評価ツールを使用します。質問数は20〜100問程度で、過去の使用歴、現在の使用頻度、リスク認識などを把握できます。代表的なツールとして、Substance Abuse Subtle Screening Inventory for Adolescents(SASSI‑A)があります。紙ベースでもコンピュータ支援形式でも実施でき、得られた情報を基に治療方針を検討します。
アルコール評価
アルコールのみが問題と疑われる場合、20歳未満の若者向けに設計された4つのスクリーニングツールが利用されます。代表的なものは以下の通りです。
- Adolescent Drinking Index(ADI)
- Rutgers Alcohol Problem Index(RAPI)
- Adolescent Alcohol Involvement Scale(AAIS)
- Adolescent Obsessive‑Compulsive Drinking Scale(AOCDS)
これらは13〜24問で構成され、飲酒量、頻度、飲酒に伴う行動、飲酒動機、心理的側面などを評価します。
違法薬物・処方薬評価
アルコールを伴わない違法薬物や処方薬の乱用が疑われる場合、専門的な評価ツールが使用されます。多くは30問以下の自己記入式アンケートで、過去・現在の使用状況、薬物に対する態度、使用している薬物の種類、行動・法的問題などを尋ねます。代表的なツールはDrug Abuse Screening Test for Adolescents(DAST‑A)で、紙・オンラインのいずれでも実施可能です。なお、ティーンエイジャーの多くはアルコールも併用するため、薬物単独のスクリーニングはアルコール評価を含むツールに比べ使用頻度が低い傾向があります。
薬物とメンタルヘルスの総合評価
薬物・アルコール乱用はうつ病や不安障害などの精神疾患と併存することが多いため、複数のメンタルヘルス問題を同時にスクリーニングできるツールが広く利用されています。質問項目は薬物・アルコールに加えて、対人関係、学校・職場での機能、社会的適応など多岐にわたります。代表的なものにProblem Oriented Screening Instrument for Teenagers(POSIT)があります。これらのツールだけで正式診断はできませんが、包括的な質問により潜在的な問題を一度のアンケートで把握でき、以降の詳細面接や治療計画策定に有用です。
