前頭葉損傷がもたらす衝動制御障害
機能
前頭葉は運動行動、問題解決、記憶、言語、判断、意思決定、社会的行動、性的行動、動機付け、衝動制御など、さまざまな高次機能を司ります。
機能の局在化
前頭葉は部位ごとに異なる機能を担っています。
- 一次運動皮質:身体運動の計画、開始、実行を制御。
- 背外側前頭皮質:計画、戦略立案、意思決定といった実行機能。
- 前頭前皮質:言語、視覚・空間記憶に関与。
- 眼窩前頭皮質:衝動制御、行動抑制、社会的行動を調整。
機能障害
前頭葉の損傷部位・程度・性質により、感情・動機・行動に様々な乱れが生じます。特に眼窩前頭皮質が損傷すると衝動制御障害が顕在化し、閉頭部外傷、腫瘍、変性疾患、重度の脳卒中などの全身的な損傷でも同様です。
ファイナス・ゲージのケース
1848年にジョン・ハーロウ医師が報告した有名な症例です。鉄棒が左頬から目を通り頭頂部へと貫通し、前頭葉に損傷を与えました。生存はしたものの、性格が大きく変化しました。事故前は整理整頓され礼儀正しく、節度がありましたが、事故後は落ち着きがなく無礼で、時に激しい罵倒を行い、他者への敬意が乏しくなりました。タスクの遂行や計画立案に困難を示し、実行機能障害と衝動制御問題が顕著でした。
回復とリハビリテーション
損傷の程度に応じて、脳細胞間の新たな結合が形成され、機能的再編成が起こります。他の脳領域が失われた機能を代替することが可能です。外傷後の集中的なリハビリテーションが、機能回復にとって重要です。
