殺人の弁護に夢遊症(睡眠歩行)を用いる際の主な問題点は何ですか?

偽装(ミリング)のリスク

睡眠歩行を殺人の防衛として主張する最大の問題は、被告が意図的に偽の症状を演じる可能性、すなわちミリングです。ミリングとは、罰を免れたり金銭的補償を得たりする目的で、実際には存在しない、あるいは誇張した身体的・精神的症状を装う行為です。被告が殺人時に睡眠歩行状態だったと主張すれば、刑事責任を回避できるため、裁判所や陪審員はその主張が真実かどうかを慎重に判断しなければなりません。

しかし、睡眠歩行は医学的に明確に定義された疾患ではなく、何をもって「睡眠歩行」とするかについても学界で合意が得られていません。そのため、専門家の証言だけで被告が本当に睡眠歩行状態だったかを確定することは難しく、偽装の疑いが残ります。

完全な弁護とみなされない点

さらに、睡眠歩行はすべての法域で完全な弁護(無罪)と認められているわけではありません。多くの地域では、睡眠歩行は「減軽事由」として刑の軽減に影響する可能性はあるものの、責任が全く免除されることは稀です。被告が睡眠歩行中であっても、事前に自らの状態を認識していた、あるいは危険を防げた可能性があると判断されれば、行為に対する責任が問われることがあります。

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