肝移植の合併症と対策

肝臓移植は、病気や機能不全で損傷した肝臓を、他人から提供された健康な肝臓に置き換える手術です。全肝臓移植もあれば、肝臓の一部だけを移植する部分肝移植もあります。末期肝不全や肝細胞がんなど、他の治療法では改善できないケースに適用されます。肝機能は急速に低下する急性肝不全と、数ヶ月〜数年かけて徐々に悪化する慢性肝不全に大別され、どちらの場合も移植は命を救う重要な手段です。

血液合併症

  • 手術直後の出血は、移植された肝臓がまだ十分な凝固因子を産生できていないために起こります。そのため、移植時に血液輸血が行われることが一般的です。大量出血が続く場合は、術後1〜2日以内に再手術で止血が必要になることがあります。

  • 肝臓の主要血管が血栓で閉塞すると、急激な肝機能障害が起こり、再移植が検討されます。

  • 深部静脈血栓を防ぐためには、術後の足の運動や弾性ストッキング、必要に応じて下肢への抗凝固薬投与が推奨されます。

肝臓拒絶反応

移植された肝臓は「異物」として免疫系に認識されるため、拒絶反応が起こり得ます。入院中に軽度から中等度の拒絶反応を示す患者は多く、医師は免疫抑制薬(抗拒絶薬)を投与して反応を抑えます。

抗拒絶薬の副作用

免疫抑制薬は感染リスクを高めるだけでなく、長期使用により皮膚がんやリンパ腫などの悪性腫瘍が発生しやすくなることがあります。定期的ながん検診と副作用のモニタリングが重要です。

感染症

外科手術全般と同様に感染リスクは存在しますが、免疫抑制薬の影響で感染症の発症率はさらに高くなります。感染が疑われた場合は、早期に適切な抗菌療法を行うことで多くはコントロール可能です。

胆道系の問題

胆管は肝臓や胆嚢から胆汁を十二指腸へ運ぶ大きな管です。移植後に胆管が狭くなる(狭窄)や、胆管と腸の吻合部がうまく癒合せず胆汁漏れが起こることがあります。また、瘢痕組織が胆管を閉塞し、胆汁の流れを妨げることもあります。これらの合併症は内視鏡的処置や再手術で対処します。

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