誤解

名称が示す通り卵子そのものを移す手術ではありません。受精後5日目に胚(受精卵)が子宮へ移植されるため、実際の対象は胚です。手法を提唱したジョン・バスター博士は、胚操作への恐怖感を和らげるために「卵子移植」という呼称を採用したと述べています。

機能・手順

不妊の女性が自ら胚を保有できない場合に、卵子提供者から採取した卵子を夫の精子で体外受精させます。受精後5日間培養し、胚が形成されたら提供者の子宮から胚を回収し、受精できなかった女性の子宮に移植します。手術は不要で、精液は感染検査を経たものが使用されます。

歴史

1978年に家畜用繁殖の専門家リチャード・シードとその兄、ランバート・シード医師がヒトへの応用を試み、1983年に臨床試験が開始されました。数百人の提供者から42名を選抜し実施されたものの、妊娠率は低く、合併症も報告されたため、米国では広く普及しませんでした。現在でもごく稀に実施されていますが、体外受精(IVF)の普及に押され続けています。

利点

ホルモンバランスの乱れや手術・疾患で自ら卵子を産めない女性でも、夫の遺伝子を受け継いだ子どもを妊娠できる可能性があります。費用面でもIVFより安価で、薬剤や外科的処置が不要です。

考慮すべき点

臨床試験では、42例の移植のうち妊娠に成功したのはわずか6例で、うち2例は流産でした。提供者の約20%が手術後に感染を起こすなどのリスクも報告されています。成功率が低く、合併症の可能性もあるため、他の不妊治療法と比較しながら慎重に選択する必要があります。