ヒルはなぜ重要なのか?
ヒルは体が分節化した環形動物で、淡水や陸上を移動します。体の両端に吸盤があり、脚や鰓、肺は持ちません。体表近くの細い血管で酸素を取り込み、二酸化炭素を放出します。血液を吸うだけでなく、オタマジャクシやカタツムリなど小型の水生動物も捕食します。
医療用ヒル療法
手術後、肺から供給された新鮮な酸素血は手術部位に直接流れ込みますが、古い血液が滞留し、肺や心臓へ戻りにくくなります。その結果、部位は冷たく暗く見えることがあります。ヒルを貼付すると、古い血液を吸い取り、新鮮な血液の循環を促します。吸血時間は10分から1時間程度で、1回の吸血で約1〜2ティースプーン(約5〜10 ml)の血液を吸います。吸血後は自然に離れ、再利用はせずアルコール容器で処分します。
カサバック・メリット症候群の治療
この症候群は血小板減少、赤血球破壊、血管腫の急速増大、凝固障害を特徴とします。ヒルは吸血時にヒルデュインという抗凝固剤を分泌し、血液凝固を防ぎます。
静脈うっ血への対処
再付着手術や移植手術、皮弁手術では、動脈は壁が厚く接合しやすい一方、静脈は壁が薄く接合が困難です。そのため、再付着部位の血液が滞留しやすくなります。ヒルが静脈の役割を代行し、使用済みの血液を吸い取って新鮮な血液を供給することで、静脈の回復時間を稼ぎます。
ヒルデュイン
ヒルが産生する抗凝固剤ヒルデュインは、血液凝固を4時間以上抑制します。心筋梗塞、狭心症、血管形成術(アンジオプラスティ)を受けた患者の血栓リスク低減に有効とされています。
