ラエトリル(アミグダリン)の有効性と安全性
ラエトリルとは
ラエトリルは、アプリコットやビターアーモンド、桃、プラムなどの種子や未熟なナッツから抽出される化合物です。主成分はシアン化合物であるアミグダリンで、糖とシアン化物が結合した構造を持ちます。また、プルナシンやベンゾアルデヒドも含まれ、これらががん細胞の増殖を抑制するとされています。
使用状況と規制
ラエトリルは米国食品医薬品局(FDA)により承認されていません。臨床試験では、経口投与または点滴投与が行われ、通常は数日間の点滴後に経口でメンテナンス投与が続けられました。インターネット上での販売は規制が強化され、米国政府は販売停止に向けた取り組みを進めています。
効果に関する報告
動物実験や一部の患者報告では、抗がん効果が示唆された例があります。
- 1950年代の44例のケースシリーズでは、ラエトリルと化学療法・放射線療法を併用した患者に改善が見られましたが、単独効果は不明です。
- 1960年代の10例のケースシリーズでは、点滴投与により疼痛緩和、リンパ節腫脹の減少、腫瘍サイズの縮小が報告されましたが、長期的な追跡は行われていません。
- ラエトリルが体内で分解されるとベンゾアルデヒドが生成され、進行がん患者の一部で症状改善が報告されています。
否定的な研究結果
米国国立がん研究所(NCI)のビンセント・デヴィタ・ジュニア主任が主導した大規模臨床試験では、156名の進行がん患者に3週間の点滴と1日3回の経口投与が行われました。その結果、ラエトリルの有効性はほとんど認められず、30日以内に50%、90日以内に90%の患者で病状が進行しました。生存期間が8か月以上だった患者は全体の約20%にとどまりました。
副作用と安全性
ラエトリルはシアン化物を含むため、シアン中毒様の重篤な副作用が報告されています。主な症状は以下の通りです。
- 吐き気、嘔吐、めまい、頭痛
- 皮膚のチアノーゼ(酸素欠乏による変色)
- 肝機能障害、低血圧、眼瞼下垂
- 協調運動障害、神経障害、発熱、意識障害、昏睡、最悪の場合死亡
長期的な安全性データが不足していることから、現時点ではラエトリルの使用は推奨されていません。
