ニーム樹の各部位とその利用法

デューク大学の大学院生ケリー・ミニアードは、ニーム樹(Azadirachta indica)に関する研究を総括し、農業・医療の両面で有望な資源であることを指摘しています。樹皮・木材・葉・花・果実・種子・種子油・抽出物と、ニーム樹のすべての部位が様々な効果を持ち、天然の農薬として土壌改良や作物保護に利用できるほか、抗がん・抗マラリア作用など医療分野でも期待されています。

ニーム樹の葉

葉は食用・薬用の両方に利用されます。

  • 葉を噛んで歯の健康や糖尿病予防に役立てる例があります。

    ニーム葉を噛むことで糖尿病や高血圧の予防に効果があるとされ、葉汁は炎症緩和に用いられます。乾燥葉の灰は尿路結石の排除に、葉の灰は土壌の栄養補給や酸性度の低減に利用されます。

    カレーの香味料や、家庭内の害虫駆除にも活用され、葉の湿布は創傷治癒を促します。また、消化促進・肝機能刺激・肺疾患緩和・血糖降下、目・耳・血液の健康維持にも期待されています。さらに、ニーム葉汁は蛇咬傷の民間療法としても使用されています。

    抽出エキスは抗ウイルス・抗マラリア作用が示唆され、抗真菌・抗がん効果も報告されています。

樹皮と木材

  • マホガニーに似た木材はシロアリに強いです。

    インドではニームの小枝を抗菌歯ブラシとして使用する習慣があります。樹木は日陰樹として植えられ、木材は硬く重く、価値の高い材として伐採・炭化されます。シロアリに自然に耐性があるため、薪や炭としても重宝されています。

    樹皮や小枝の抽出物は熱・マラリア・嘔吐の治療に、樹皮は食欲不振・下痢・黄疸・寄生虫症の緩和に用いられます。さらに、咳・潰瘍・喘息・痔・腫瘍の炎症抑制にも効果があると報告されています。

種子油と種子(ニームケーキ)

  • 抽出された油は殺菌石鹸や歯磨き粉に使用されます。

    ニームの果実の種子から抽出した油は、殺菌石鹸や歯磨き粉、避妊剤、灯油として利用されます。油絞り後に残る種子粕(ニームケーキ)は土壌改良剤や家畜飼料として活用されます。

    種子油はハンセン病や皮膚疾患、リウマチの治療に使用され、抗真菌・抗寄生虫作用があり、抗菌繊維の加工にも応用されています。また、抗生物質耐性菌(サルモネラ、ブドウ球菌、大腸菌)に対する抑制効果が確認されています。

花と果実

  • 果実はオリーブに似ており、天然農薬は人にも安全です。

    ニームの花は苦味のある刺激剤で、胃痛や腸壁の筋緊張低下、寄生虫感染の緩和に用いられます。

    果実は紫または黄色でオリーブに似ています。下剤として、また果実油はハンセン病治療に使用されます。咳・眼疾患・痔・尿路障害・歯痛の緩和、寄生虫駆除にも効果があります。

    特筆すべきは、果実に含まれる天然農薬がコウモリや鳥類、テントウムシ、クモなどに無害であり、環境に優しい点です。

アザジラシン(Azadirachtin)

  • ニームは重要な天然農薬です。

    アザジラシンはニーム全体に含まれますが、特に果実と種子に高濃度で存在します。食草性害虫の成長を緩やかに阻害し、既存の化学農薬に比べて抵抗性が生じにくい特徴があります。コウモリが果実を食べても死なないため、コウモリが害虫を捕食することで作物保護が二重に機能します。

    穀物保管時に乾燥葉や粉砕葉を容器に入れて害虫を追い払う方法、種子や粉砕種子を粘土や木屑と混ぜて貯蔵容器の内壁に塗布する方法、種子油を穀物に混ぜる方法など、実用的な保存・防除技術が報告されています。

    粉砕した種子を水に溶かして散布すれば、野菜や作物の葉面に吸収され、害虫被害を抑制します。

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