ADHDの治療に使われる薬は?
ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、集中力の低下、じっとしていられない、衝動制御の困難といった症状を伴う神経行動障害です。1930年代以降、デキシドリンやリタリンといった刺激薬が症状緩和に有効であることが分かり、以後も多くの薬剤が開発・改良されてきました。以下に、現在主に使用されている薬剤カテゴリと代表的な製品を紹介します。
リタリン系薬剤
-
リタリン(メチルフェニデート)は1960年代からADHD治療に用いられ、以降、Focalin、Methylin、Concerta、Metadate などの派生薬が登場しました。多くは徐放性製剤で、授業中の頻繁な服薬を避けられます。Daytrana は皮膚貼付型で、睡眠に影響が出た場合は簡単に外すことができます。
デキサン系薬剤
-
デキサン(デキストロアンフェタミン)はアンフェタミン系の刺激薬で、脳内の神経伝達物質を増加させることで症状を軽減します。リタリンに比べて作用の立ち上がりと停止が比較的緩やかとされています。1996年に登場したアデロール(アンフェタミンとデキストロアンフェタミンの混合剤)も即効性と徐放性の両方の製剤があります。
非刺激薬
-
ストラテラ(アトモキセチン)は FDA が承認した非刺激薬で、ノルエピネフリンの濃度を上げることで効果を発揮します。24 時間以上持続するため、1日1回の服用で済むことが多く、チックやトゥレット症候群の悪化を招きにくいという利点があります。
他薬のオフラベル使用
-
『オフラベル』とは、本来別の疾患向けに開発された薬が、実際には他の疾患でも有効と判明したケースを指します。血圧降下薬のクロニジン(商品名 Catapres)やグアンファシン(商品名 Tenex)は、ADHD の症状改善に用いられることがあります。また、抗うつ薬のウェルブトリン(ブプロピオン)や三環系抗うつ薬(イミプラミン、デシプラミン)も、ドーパミン・ノルエピネフリンを調整することで ADHD の治療に利用されます。
新薬開発の最前線
-
最近のイスラエルの研究では、抗うつ薬レボキセチンがオフラベルで ADHD 症状に効果を示すことが報告され、8 週間の試験で有意な改善が見られました。この結果は米国での子ども対象の大規模研究へとつながる期待が高まっています。世界各地で新たな薬剤の臨床試験が進行中で、将来的にさらに多様な治療選択肢が提供される見通しです。
