不適切な持ち上げ方が引き起こす問題
脚の力で持ち上げ、背中を使わないという安全指針は、誰もが一度は耳にしたことがある基本的なアドバイスです。たとえ長年不適切な持ち上げ方で何とかやり過ごしてきても、同じ方法を続ければやがて痛みを伴う怪我に繋がります。起こり得る怪我は、リフティングに関連する代表的なものに限られます。
持ち上げと背骨
不適切な持ち上げで最も多く発生するのは背中の怪我です。特に、背骨の構造や背骨に付着する筋肉が損傷します。ほとんどのケースは腰部、すなわち上部の臀部と背中の下部カーブの間にある腰椎領域で起きます。立ち上がる際は、腰を前に曲げずに膝を曲げて持ち上げることが重要です。
筋肉への影響
不適切な持ち上げは、腰椎に付着する筋肉を過度に伸ばしたり裂いたりします。筋肉が許容範囲を超えて伸びることを「捻挫(ストレイン)」と呼び、急性の痛みが生じ、痙攣を伴うことがあります。捻挫後は炎症が起こり、痛みが長引き、回復が遅くなることがあります。一般的な対処法は、安静、冷却、抗炎症薬です。筋肉が完全に裂ける状態は「捻挫(スプリン)」と呼ばれ、痛みが強く、回復に時間がかかります。
関節への影響
背骨は椎体と呼ばれる骨が連なり、各椎体は関節面と靭帯でつながれています。不適切な持ち上げはこれらの靭帯や関節面を損傷し、急性の痛みと痙攣、炎症を引き起こします。治療は筋肉の捻挫と同様に、安静、冷却、抗炎症薬が基本です。組織が瘢痕化すると再発や慢性炎症のリスクが高まります。
椎間板への影響
椎体間にあるクッション状の組織(椎間板)が、誤った持ち上げによって位置ずれを起こすと「椎間板ヘルニア」や「椎間板スリップ」と呼ばれる状態になります。極めて激しい痛みを伴い、体の他部位に痛みが放散することがあります。多くの場合、外科的治療が必要です。
