仙腸関節痛(SI関節痛)の概要と対処法
仙腸関節(SI関節)は、脊椎の最下部にある仙骨と骨盤を構成する腸骨との間に位置します。関節は数度しか動かず、靭帯で固定されています。立位時には上半身を支える役割を果たし、痛みは腰部の左右や臀部上部に放散します。
診断
SI関節の痛みは診断が難しいことがあります。痛みや炎症は脊椎や股関節周辺に広がることがあるため、医師による身体診察に加えて、X線、骨シンチグラム、CT、MRI などの画像検査が行われます。これらの検査は必ずしも痛みの原因をSI関節に限定できませんが、他の部位が関与しているかどうかを判断する手がかりとなります。
痛みの原因
SI関節の痛みは「機能不全」「症候群」「捻挫」や「炎症」などと呼ばれます。関節の摩耗は変形性関節症を引き起こし、炎症が伴います。妊娠中は体重増加と出産時の動きの広がりで関節に負担がかかります。また、膝への強い衝撃などの外傷が靭帯を伸ばし、SI関節を過度にストレスにさらすことがあります。痛みは歩行や座位、寝姿勢に大きく影響します。
理学療法
理学療法はSI関節痛の第一選択です。腰のすぐ下で臀部を巻くSIベルトは関節の過剰な動きを抑え、日常動作を安定させます。背部マッサージで筋緊張を緩和し、温熱療法で筋肉をほぐした後に冷却で炎症を抑える方法も有効です。
歩幅を小さくする、痛み側と反対側で膝を軽く曲げて寝る、または痛み側の膝だけを曲げて枕で支えるといった姿勢調整も症状軽減に役立ちます。
医療的治療
疼痛管理専門医はステロイド(コルチゾン)と局所麻酔薬をSI関節内に注射します。この注射は痛みの緩和だけでなく、痛みの起点がSI関節であることの診断的確認にもなります。効果は数時間から数日と個人差があり、必要に応じて年間最大3回まで繰り返すことができます。長期的にはナプロキセンなどの非ステロイド性抗炎症薬、筋弛緩剤、鎮痛剤の併用が処方されることがあります。
長期予後
医師は個々の症状に最適な治療法を提案します。疼痛管理の一環として、痛みを誘発しやすい動作や姿勢を避ける生活指導が重要です。ベッドから起き上がる際の体の使い方や日常の動作を見直すことで、痛みを耐えられるレベルに抑えることが可能です。
