ポジティブなワデル徴候とは?
仕事中の怪我などで、金銭的な動機や仕事を回避するために痛みを誇張したり、偽装したりするケースがあります。患者の痛みが実際の身体的原因に基づくかどうかを判断するのは容易ではありません。医学者のWaddell博士は、痛みの行動が心理的要因や虚構によるものと判断できる8つの所見を提案しました。これらは「ワデル徴候(Waddell's sign)」として知られています。
1. 誇張された反応
痛みの表出が過度に大きい場合、ワデル徴候が陽性とみなされます。評価者の主観的判断に基づきますが、同じ部位に対して別のタイミングで痛みが少ない場合は信頼性が高まります。叫び声、顔のゆがみ、身をすくめる、しかめっ面、泣くなどが典型的です。
2. 広範な痛みの訴え
体の広い範囲や特定部位全体に痛みを訴える場合も陽性です。軽い触診で複数箇所に激しい痛みを訴えることがありますが、解剖学的な分布に沿っていません。例えば、特定の脊髄神経が刺激されると腕や脚の決まった領域に痛みやしびれが現れますが、患者は複数の神経が支配する領域に同時に痛みを感じると訴えることがあります。
3. 模擬的な動作
患者にとっては本格的な検査に見えるが、実際には組織を痛めるような力が加わっていない動作があります。代表的なものは「軸荷重」(頭部を中立位でまっすぐ下に押す)や、股関節と肩関節を同時に受動的に回旋させる、脊椎全体を単位として回す、あるいは脚だけを回すといったものです。これらの検査で痛みを訴えると陽性と判断されます。
4. Straight Leg Raise(直立脚挙上)テスト
下部脊椎の神経圧迫がある場合、直立脚挙上で痛みが出ます。まず座位で膝を伸ばす位置に「怪我した」脚を受動的に持ち上げ、患者が反応しないか確認します。その後、仰向けにして脚を上げたときに痛みが出れば陽性です。実際の神経圧迫であれば、座位でも仰向けでも痛みが生じます。
