Spitzとアナクリティックうつ病(分離性うつ)

関連研究の概要

1937年から1943年にかけて、母親からの分離が乳幼児に与える有害な影響を指摘した研究がいくつか報告されました。これらは主に「母性剥奪」と呼ばれていました。

Spitzの研究の意義

Spitzは先行研究と概ね一致しつつ、二つの点で差別化しました。第一に、障害に「アナクリティックうつ病」という名称を付け、社会学的観察から精神医学的障害として定義しました。第二に、可能な限り二重盲検に近い手法で研究を行い、結果の信頼性を高めました。

研究手法

二重盲検研究は倫理的問題が伴うため、Spitzは代替手法を採用しました。刑務所と孤児院という二つの施設で、乳幼児を対象に観察を行いました。刑務所では子どもが投獄された母親からのケアを受け、孤児院では専門の看護師がケアを提供しました。

研究結果

Spitzと共同研究者のKatherine Wolfは、123人の「無作為選択された」乳幼児を12〜18か月間追跡しました。孤児院の子どもは初期段階では発達が良好でしたが、期間の終わりには刑務所の子どもに遅れを取りました。2年以内に孤児院の子どもの3分の1以上が死亡し、5年後も全ての刑務所の子どもは生存していました。

示唆

研究者は、母親という重要なケアギバーの存在が生存率の大きな差を生んだと結論付けました。孤児院の子どもは「アナクリティックうつ病」の犠牲者と診断され、障害名を付けたことで小児心理学の研究が進展しました。この研究は50年以上にわたり、小児社会学・精神医学の文献で頻繁に引用されています。

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