うつ病・不安障害に対するGABA治療の可能性
米国国立精神衛生研究所によると、18歳以上の成人でうつ病(大うつ病性障害)にかかっている人は約1480万人、双極性障害やジストミアなどの関連疾患は約900万人に上ります。現在、うつ病の第一選択薬は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)ですが、代替療法の研究も進んでいます。ヨーロッパで広く用いられているセイヨウオトギリソウやサミエ(S-アデノシルメチオニン)は一定の効果が報告されています。近年、γ-アミノ酪酸(GABA)も注目されており、特に不安症状の緩和に有望とされています。
GABAと神経伝達物質
神経伝達物質は脳内で神経細胞間の情報伝達を担う化学物質です。興奮性(刺激)と抑制性(鎮静)に大別されますが、GABAは代表的な抑制性神経伝達物質です。不安を抱える人はセロトニンやGABAのレベルが低下していることが多いとされています。
GABAとうつ病
GABAをうつ病治療に利用する研究は続いていますが、現時点では抗うつ効果は十分に確認されていません。むしろ、抑制性の働きが強すぎると、うつ病や双極性障害の症状を悪化させる可能性があります。GABAは脳の活動を「減速」させる役割を持ち、活性化を促すわけではありません。
GABAと不安
1950年代の初期研究では、GABAが脳を鎮静させ、不安や統合失調症の治療に有効であることが示唆されました。近年、コロラド州アスペンの予防医学クリニックのハロルド・ホイットコム医師と栄養学者フィリス・ブロンソン氏は、GABAが不安時に過剰に活動する脳の「過放電」を抑制することを確認しています。GABAはベンゾジアゼピン系薬剤と同じ受容体部位に結合し、神経細胞の発火を抑える働きをします。
GABAの主な使用例
現在、GABAは以下の症状に対して利用されています。
- 不安障害
- 不眠症
- PTSD(心的外傷後ストレス障害)
- 強迫性障害(OCD)
臨床試験では、1日800 mgの投与が不安や不眠に有効とされ、最大で18 gまでの高用量がPTSDやOCDの症状緩和に役立つ可能性が示唆されています。
自宅でのGABA使用時の注意点
安全とされる用量は500 mg~4 gですが、個人差によりしびれ感、皮膚の紅潮、さらには逆に不安感が現れることがあります。新たにサプリメントを取り入れる際は、必ず医師や自然療法士に相談し、低用量から開始して効果と副作用を確認してください。
