臨床的うつ病は遺伝しますか?

臨床的うつ病(大うつ病性障害)は正確な原因がまだ分かっていませんが、家族内で発症しやすいことから遺伝的要因が関与している可能性があります。米国精神医学会(NAMI)は、遺伝子だけでなく環境要因や生活習慣も症状の発症に影響すると指摘しています。

遺伝子とうつ病

  • うつ病リスクに関連すると考えられている遺伝子は「5-HTT短アレル」です。英国の国民保健サービス(NHS)によれば、この遺伝子は親から子へ直接遺伝します。ただし、短アレルを持っているからといって必ずしもうつ病になるわけではなく、リスクが高まるという程度です。

遺伝子の機能的意義

  • 5-HTTはセロトニン輸送体をコードし、神経伝達物質であるセロトニンの再取り込みに関わります。フルアレルを持つ人は神経伝達が比較的円滑で、気分や食欲、睡眠リズムの調整がしやすいと考えられます。一方、短アレルを持つ人はセロトニンのバランスが崩れやすく、うつ症状が出やすい可能性があります。

有病率と遺伝リスク

  • NHSの推計では、世界人口の約20%が5-HTT短アレルを保有しています。CVSヘルスのデータによると、両親が臨床的うつ病の場合、子どもにうつ病が遺伝する確率は約75%です。片方だけがうつ病の場合は25〜50%に低下します。

環境要因との相互作用

  • 短アレルを持つ子どもが実際にうつ病を発症するかは、親の育て方や生活環境、ストレスフルな出来事の有無にも大きく左右されます。遺伝子、うつ病の親、そしてストレスという三つの要因が重なると、臨床的うつ病が顕在化しやすくなります。

その他のリスク要因

  • 遺伝的にリスクが高い人でも、アルコール・薬物乱用、自然災害やその他の外傷的出来事、愛する人の死、慢性的な身体疾患(例:片頭痛)や経済的困窮といった要因が重なると、初めて症状が現れることがあります。

うつ病 - 関連記事