単極性うつ病(大うつ病性障害)
「ブルーズ」や一時的な悲しみは誰にでも起こりますが、長期間にわたり全ての生活領域に影響を及ぼす深い抑うつ状態は、単極性うつ病(大うつ病性障害)と呼ばれる深刻な精神疾患です。米国では生涯に一度は約16%が経験するとされていますが、適切な支援があれば回復は可能です。
原因
単極性うつ病の正確な原因はまだ解明されていませんが、遺伝的素因、脳の構造・神経伝達物質の異常、低い自尊心や否定的思考といった心理的要因、家族の病や死、性的・身体的虐待、職場ストレスなどの環境要因が複合的に関与すると考えられています(バイオ・サイコ・ソーシャルモデル)。
症状
臨床的なうつ状態では、抜け出せない深い悲しみや絶望感に襲われます。「ブラックホールの中にいる」ような感覚と表現されることもあります。生活への興味・喜びが失われ、人間関係や仕事、趣味が意味を持たなくなります。身体的にも疲労感が続き、簡単な作業すら困難です。その他、無力感・罪悪感・集中力低下・体重変動・睡眠障害・死や自殺に関する思考などが見られます。
診断
うつ病を特定する決定的な検査はありません。まずは身体的疾患や薬物による影響を除外するために、全身検査や血液・毒性検査が行われます。その後、精神科医や臨床心理士が心理評価(例:ベックうつ病評価尺度)やDSM-IV(現DSM-5)の診断基準に基づき診断します。
治療
原因が生物学的・心理的・環境的要素の組み合わせと考えられるため、治療も多面的に行います。抗うつ薬(例:パキシル、プロザック、ゾロフト)による薬物療法と、認知行動療法や対人関係療法などの心理療法を組み合わせます。家庭内の問題がストレス源の場合は、家族療法が有効です。
予後
治療効果は個人差がありますが、約50%が生涯で再発を経験し、20%が慢性的なうつ状態になると報告されています。適切な薬物管理と継続的なカウンセリングを受けることで、多くの患者は通常の生活を取り戻すことが可能です。症状の再発を感じたら速やかに医師に相談しましょう。
