糖尿病食事療法の遵守を左右する要因
糖尿病は体が主要なエネルギー源であるブドウ糖(血糖)をうまく利用できなくなる代謝疾患です。その結果、血中に糖が蓄積し、心臓病、脳卒中、腎障害、歯周病、失明などの合併症リスクが高まります。食事療法は糖尿病管理の中心であり、適切に計画されたバランスの取れた食事が不可欠です。しかし、多くの患者は推奨される食事ガイドラインを守るのに苦労しています。
食事に関する知識
認定栄養士であり糖尿病教育者でもあるメアリー・A・ジョンソン氏は、糖尿病患者は炭水化物全般(砂糖や白パンだけでなく)に血糖上昇をもたらすことを理解していないことが多いと指摘します。炭水化物を含む食品や適切な摂取量を正しく把握できていないケースが目立ちます。介護者は、対象者が食品の炭水化物量と1食あたりの目安を正確に理解できるようサポートすべきです。患者自身も、基礎的な栄養知識を身につけ、炭水化物の摂取量を管理できるよう時間を割くことが重要です。米国糖尿病協会(ADA)は1食あたり45〜60gの炭水化物を目安としていますが、個人差がありますので、医師や管理栄養士と相談して最適な量を決めましょう。
実感できる結果
ジョンソン氏は「炭水化物宿題」を患者に課しています。具体的には、朝食・昼食・夕食それぞれ3回、計9回の食事について、食前90分と食後90分の血糖値を測定し、摂取した食事と量を記録します。患者が自ら食事と血糖値の直接的な関係を体感すると、食事療法への遵守意欲が高まります。また、各食事で安全に摂取できる炭水化物量の目安が明確になるため、個々のニーズに合わせた管理がしやすくなります。
測定ツールの選択
炭水化物を正しくカウントするには、自分に合った測定方法を見つけることが大切です。食事ごとにグラム数で管理する人もいれば、炭水化物「単位」や「交換量」で把握する方が楽な人もいます。あるいは、1日分の献立を細かく決めたメニュー表を用いるケースもあります。最も効果的なのは、血糖値を安定させられる方法です。
その他の留意点
炭水化物だけでなく、脂質の質も管理対象です。糖尿病患者は心血管疾患リスクが高いため、飽和脂肪酸の摂取を総カロリーの7%未満に抑えることが推奨されます。一方で、ナッツ、オリーブオイル、豆腐、アボカド、サーモンに含まれる不飽和脂肪(いわゆる「良質な脂肪」)は積極的に取り入れるべきです。炭水化物と脂質のバランスを取る新しい食習慣は、献立の見直しや新レシピの習得が不可欠です。好きな料理を増やすことで、制限する食品以上に多様な栄養を摂取でき、長期的な成功につながります。
糖尿病食事療法の遵守は、知識、実感、適切なツール、総合的な食事バランスの4つの要素が相互に作用して実現します。医療従事者と連携し、無理のない計画を立てることが継続の鍵です。
