クローン病に対するエンブレル(Enbrel)の有効性
クローン病とは
クローン病は消化管の粘膜が炎症を起こす慢性疾患で、腹痛や下痢、重症例では栄養不良を引き起こします。原因は不明ですが、家族歴・喫煙・年齢(主に20〜30歳)などがリスク要因とされています。イソトレチノインや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)も発症リスクを高めると報告されています。
治療法
クローン病に根本的な治癒法はありません。炎症を抑える抗炎症薬や免疫抑制薬が主に用いられ、症状の軽減を図ります。疼痛が強い場合はアセトアミノフェンなどの鎮痛剤が処方され、栄養不良には鉄・カルシウム・ビタミンDのサプリメントが補助的に使用されます。
エンブレル(Enbrel)とは
エンブレルは関節リウマチなどの炎症性関節疾患の治療に用いられる生物学的製剤です。腫瘍壊死因子(TNF)という炎症を促進するタンパク質を阻害し、炎症を抑える働きがあります。一方で免疫機能を低下させ、感染症リスクが増大する副作用もあります。
クローン病へのエンブレルの適用可能性
クローン病も炎症性疾患であることから、TNF阻害薬が有効かと期待されたことがあります。しかし、43名を対象とした臨床試験(『Gastroenterology』掲載)では、エンブレル群とプラセボ群に有意な差は認められませんでした。また、『Biomedicine and Pharmacotherapy』のメタアナリシスでも、エンブレルがクローン病の症状改善に寄与するという証拠は得られていません。
治療を検討する際の留意点
クローン病の治療は患者さんと医師が協力して最適なプランを策定することが重要です。エンブレルは現時点でクローン病に対する有効な選択肢とは認められていないため、使用を検討する場合は必ず専門医に相談してください。
