胆嚢摘出後のリパーゼ上昇と胆石性膵炎
肝臓は胆汁を産生し、脂肪の消化に必要な胆汁を胆嚢に貯蔵します。胆嚢内にコレステロールからなる胆石ができると、胆汁の腸への流れが妨げられ、特に脂肪分の多い食事の後に右上腹部の痛みや嘔吐が生じます。胆嚢を外科的に摘出すれば多くの場合症状は改善しますが、胆石は膵臓など隣接する臓器にも影響を及ぼすことがあります。
胆石性膵炎とは
胆嚢と膵臓は総胆管という共通の管を通じて胆汁と膵液を小腸へ排出します。膵臓からはリパーゼとアミラーゼという消化酵素が分泌され、脂質や炭水化物の分解を助けます。胆石が総胆管を塞ぐと、胆汁だけでなく膵酵素の流出も阻害され、酵素が膵臓内に滞留して自己消化を起こし、膵臓組織が炎症を起こします。血中に漏れ出たリパーゼは検査で測定でき、正常範囲は7〜58 U/Lです。リパーゼが正常値の5倍以上、アミラーゼが2倍以上上昇している場合は膵炎と診断されます。主な症状は上腹部の鈍痛で、背中や左肩に放散することがあります。原因が胆石である場合は、胆嚢とともに胆石を摘出し、膵臓が自然に回復するまで数日〜数週間で改善します。
膵炎は長期の過度な飲酒でも起こります。女性、白人、40歳以上、肥満の人に多く見られます。
治療の基本方針
膵臓を安静に保つことが回復の鍵です。主に以下の点に留意します。
- 栄養管理:ゼラチンやブロス、透明な液体を中心に、必要に応じて胃を空に保つために鼻胃管や吸引を使用します。静脈栄養や経腸栄養チューブで高カロリーの液体を投与することもあります。
- 痛みと嘔吐のコントロール:痛み止めと制吐薬で症状を抑え、食事は柔らかく小分けにしたものを頻回に摂取し、消化酵素を経口で補うことがあります。
- 禁忌食品:アルコール、カフェイン、揚げ物、炭酸飲料、タバコは絶対に避けます。
- 画像診断と血液検査で経過観察:CTやMRIで膵臓の状態を確認し、血中リパーゼ・アミラーゼ濃度で炎症の程度を評価します。
重症例では膵臓周囲に液体がたまり、感染すればドレナージが必要になります。不可逆的な壊死が起きた場合は膵臓の一部切除が検討されますが、手術は最終手段です。
胆石性膵炎は時間はかかりますが、適切な管理で完全に回復します。依存性の鎮痛薬からの離脱が難しい場合は、疼痛管理チームやNarcotics Anonymous(匿名薬物依存者会)などの支援が有効です。
