過敏性腸症候群(IBS)と月経サイクルの関係
過敏性腸症候群(IBS)は、慢性的な腹部不快感や疼痛、膨満感、ガス、便秘や下痢(またはその両方)を伴う疾患です。腸の筋肉の異常な動きや神経感受性の亢進が原因とされています。女性は男性の約3倍の頻度でIBSを発症し、特に月経期間中に症状が悪化しやすいことが報告されています。
症状の悪化
IBS Research Appealによると、IBSを持つ女性の約半数が月経中に疼痛、ガス、下痢などの症状が悪化すると回答しています。2003年のAmerican Journal of Gastroenterologyに掲載された研究でも同様の結果が示され、性ホルモンが症状に影響を与えている可能性が示唆されています。
月経サイクル
月経サイクルは、月経開始日を1日目とする卵胞期(約10〜14日)で始まり、排卵が起こります。その後、黄体期へ移行します。卵胞期ではエストロゲンが上昇し、プロゲステロンは低い状態が続きます。一方、黄体期ではプロゲステロンが上昇します。妊娠が成立しない場合、これらのホルモンは月経開始と同時に最低レベルになります。
ホルモン変動と腸運動
IBS Research Appealが引用する研究では、卵胞期と黄体期の両方で食物が消化管全体を通過する平均時間はほぼ同じと報告されています。エストロゲンやプロゲステロンの上昇はIBSの症状に大きな影響を与えないものの、黄体期に便秘傾向が見られる女性もいます。月経期のホルモン低下時には、特に便秘体質の女性で排便回数が増えることが報告されています。
直腸感受性の変化
2002年に学術誌『Gut』に掲載された研究では、IBS患者の女性は月経中に直腸の感受性が高まることが示されました。対照群(IBSでない女性)では同様の変化は認められませんでした。研究は月経サイクルの4つの時期に直腸バルーン拡張テストを実施し、その結果を比較しています。
さらに示唆される点
同研究の参加者は日記をつけ、腹痛・膨満感の程度や排便回数・便の性状を記録しました。その結果、IBS患者では月経中に腹痛と膨満感が悪化し、排便回数が増える傾向が見られました。IBSでない女性でも、月経期に便が緩くなり、排便回数が増えることが確認されています。
以上の知見は、月経周期に伴うホルモン変動がIBSの症状に影響を与える可能性を示唆しており、症状管理の際に月経周期を考慮することの重要性を示しています。
