耳と顎の痛みの原因と対処法
耳と顎は顔面の構造上近接しているため、片方の痛みがもう片方に波及しやすいです。以下では、代表的な原因とそれぞれの対処法を解説します。
歯ぎしり(ブラキシズム)
歯ぎしりは、医学的にはブラキシズムと呼ばれ、意識的・無意識的に歯を食いしばったり、こすり合わせたりする状態です。昼間だけでなく睡眠中(睡眠性ブラキシズム)にも起こります。重症例では、スプリントやマウスガード、行動療法、歯列矯正が必要になることがあります。痛みが耳や顎に広がると、顎関節症のサインかもしれません。
顎関節(側頭顎関節)
耳の前壁は側頭顎関節の後壁でもあります。顎の下部骨が頭蓋骨と接するこの関節は、口を開閉したり、左右・前後に動かす役割を担います。関節の間には軟骨状の円盤があり、滑らかな動きを可能にしています。
顎関節機能障害
顎関節機能障害は、顎の筋肉が過度に緊張し関節が硬くなる状態です。頭痛、クリック音や割れる音、顎のロック、耳周辺や顎の痛みが主な症状です。原因は歯ぎしりだけでなく、爪を噛む癖、不安、疲労、ストレスなども関与します。治療は、解熱鎮痛剤(例:アセトアミノフェン)、抗うつ薬(筋弛緩作用があるもの)、理学療法、温熱パッド、重症例では手術が検討されます。
唾液腺がん
唾液腺がんは、喉・頸部・口腔の唾液腺にできるまれながんです。放射線被曝、喫煙、家族歴などがリスク要因とされています。主な症状は顔面の腫れやしびれ、嚥下障害、腫瘍部位の持続的な痛みです。三対の大唾液腺のうち、耳の前に位置する耳下腺(パロチッド腺)が最も頻繁に罹患します。治療は外科手術、再建、放射線療法、化学療法が中心です。
ドライソケット
永久歯抜歯後に起こるドライソケットは、抜歯部位の血餅が剥がれ、骨と神経が露出する状態です。痛みは抜歯部位から顎を通り耳まで放散します。治療は薬剤を含んだドレッシングの適用、ソケットの洗浄、鎮痛剤の投与です。
