戦闘機パイロットの視力向上エクササイズ
目の筋肉やレンズの疲労が視力低下の原因とするベイツ法など、視力改善エクササイズは19世紀から提案されていますが、科学的根拠は乏しいです。本稿では、パイロットに特に関係する視力問題と、実際に役立つエクササイズを紹介します。
ベイツ法と派生エクササイズ
1920年、ウィリアム・ベイツは視力障害は眼球筋の疲労やレンズの緊張が原因とし、目のリラックスや遠近の対象に焦点を合わせる運動を提案しました。近くと遠くの物を見る、動く物体を追う、暗闇で目を休めるといった「目のトレーニング」が多くの派生法で紹介されています。
ベイツ法の有効性に関する証拠
臨床的に実証されたデータはほとんどなく、視力矯正手術や眼鏡を不要にすると主張する広告は、偽広告として法的問題に発展することがあります。近視や遠視は眼球やレンズの形状変化が主因であり、筋肉運動だけで改善することは科学的に否定されています。一方、眼球の形状変化と無関係な調整障害などは、特定のエクササイズで改善が期待できます。
収束不足(コンバージェンスインサフィシエンシー)
遠くの物体から近くの物体へ焦点を合わせる際、両眼は内側へ回転し同一点に合わせる必要があります。収束不足の人はこの動きが不十分で、二重視やぼやけた視界が生じ、戦闘機パイロットの訓練や任務に支障をきたします。
収束不足を改善するエクササイズ
腕を伸ばして鉛筆を持ち、遠くの位置で焦点を合わせます。そのままゆっくりと鉛筆を顔に近づけ、視界がぼやけ始める直前で10秒間焦点を保ちます。これを10回繰り返し、1日2~4回実施します。視界が3インチ(約7.5cm)以内で快適に焦点が合うようになるまで続け、慣れたら頻度を減らします。
眼精疲労の緩和
長時間の飛行で一定距離の対象に集中し続けると眼筋が疲労します。遠近の対象に交互に焦点を合わせたり、視野の端にある物体を見ることで筋肉をリセットできます。飛行中は推奨されませんが、地上で目を閉じて手のひらで覆い暗闇にする「パームリラックス」も有効です。色や光のパターンは視覚神経の自然な活動によるものです。
