子宮筋腫(子宮平滑筋腫)の概要と対策
子宮筋腫は子宮の壁にできる良性腫瘍で、子宮平滑筋細胞から発生します。女性の約75%が出産可能年齢のうちに何らかの子宮筋腫を持つとされ、症状が出ないケースも多く、知らずにいることがほとんどです。子宮筋腫は「レイオミオーマ」「線維筋腫」「ミオーマ」などとも呼ばれます。
種類
- 粘膜下筋腫:子宮壁の一部が子宮腔側に突き出た形で、月経時の大量出血を引き起こすことがあります。
- 漿膜下筋腫:子宮外側にでき、膀胱を圧迫すると頻尿や排尿困難が生じることがあります。
- 腔内筋腫:子宮腔内に位置し、月経間の痙攣や出血をもたらすことがあります。
- 筋壁内筋腫:子宮壁内部にあり、通常は症状を起こしませんが、非常に大きくなると問題になることがあります。
リスク要因
年齢が最大のリスク要因で、特に40代・50代の女性に多く見られます。閉経後はエストロゲンとプロゲステロンの減少に伴い、筋腫は縮小することがあります。肥満や赤身肉(ハム・牛肉)の過剰摂取もリスクを高めます。アフリカ系アメリカ人女性は発症率が高く、母親が筋腫を持っている場合もリスクが上がります。
症状
筋腫の大きさが症状の有無を左右します。微小なものからグレープフルーツ大まであり、主に大きいものが問題を起こします。代表的な症状は以下の通りです。
- 月経痛や月経過多(重い出血)
- 出血がひどい場合は貧血
- 下腹部の膨満感やサイズの増大感(体重増加ではない)
- 腰痛、性交時痛
- 稀に不妊の原因になることも
診断
診察時に医師が触診で筋腫を確認できることがあります。疑いがある場合は超音波検査で位置と大きさを評価します。必要に応じてX線、CT、MRI、子宮鏡検査(子宮内膜超音波造影)や子宮卵管造影(造影剤使用)などが行われます。
さらに詳しい評価が必要なときは、腹腔鏡または子宮鏡による直接観察が行われます。腹腔鏡はへそ近くに小切開を入れ、細いカメラを挿入して子宮を観察します。子宮鏡は膣・子宮頸部からカメラを挿入して子宮内部を確認します。
治療
症状が軽微で筋腫が小さい場合は経過観察が選択されます。薬物療法では筋腫の縮小や出血のコントロールが可能です。出血が問題の場合は、一時的に月経を止める薬も使用されます。
手術療法の代表例は以下の通りです。
- 筋腫除去術(筋腫摘出):子宮を温存したい女性に適し、開腹または腹腔鏡下で行われます。子宮鏡を用いて膣から除去する方法もあります。
- 電気凝固療法(ミオリシス):電流で筋腫と血管を破壊し、縮小させます。
- 凍結療法(クリオミオリシス):液体窒素で筋腫を凍結します。
- 子宮動脈塞栓術(UAE):筋腫へ血流を遮断し、自然に縮小させます。
- 子宮内膜焼灼術:子宮内膜を熱で破壊し、月経出血を減少させます。
- 集束超音波治療(FUS):MRIガイド下で超音波を集束させ、筋腫を非侵襲的に破壊します。
- 子宮全摘(子宮摘出):重症例や子宮を残す必要がない場合に行う大手術です。
いずれの治療法も、患者の年齢・症状・将来の妊娠希望などを総合的に判断して選択されます。
