遠位十二指腸の症状と治療法
遠位十二指腸は小腸の最初の部分で、胃に続く約3センチメートルの領域です。この部位に影響を与える主な疾患として、セリアック病、十二指腸潰瘍、クローン病、胃がん、そして十二指腸閉鎖症があります。
セリアック病
遺伝性の免疫疾患で、グルテンに対する過敏症が原因です。小腸、とくに遠位十二指腸の粘膜が損傷し、栄養吸収が低下します。主な症状は腹痛、下痢、嘔吐、倦怠感、貧血、便の悪臭・淡い色、歯の変色などです。根本的な治療法はなく、グルテンフリー食が唯一の対策となります。診断には遠位十二指腸からの組織検査が用いられます。
十二指腸潰瘍
胃酸が遠位十二指腸の粘膜を侵食し、潰瘍が形成されます。胸やけ、喉の灼熱感、食後の上腹部痛が典型的です。酸性飲料やコーヒー、アスピリンの摂取で症状が悪化します。出血がある場合は血液を含む嘔吐や黒色便が見られます。治療は抗生物質、制酸剤、潰瘍保護薬(スクラルファート)などです。
クローン病
小腸全体に炎症を起こす慢性疾患で、稀に遠位十二指腸にまで波及します。症状は血便、下痢、体重減少、腹痛、発熱、関節痛、皮膚病変などです。根治は困難ですが、抗炎症薬(アミノサリチル酸系)や適切な食事管理で症状緩和が可能です。
胃がん
主に胃に発生しますが、遠位十二指腸に転移または原発することがあります。症状は食欲不振、倦怠感、腹部膨満感、胸やけ、嘔吐、血便や血嘔です。治療は外科的切除、放射線療法、化学療法(抗がん剤)を組み合わせます。
十二指腸閉鎖症
先天的に遠位十二指腸が閉塞し、食物が通過できない状態です。新生児期に嘔吐、排尿・排便の減少が見られます。緊急の点滴による水分・栄養補給と、閉塞部の外科的開通手術が必要です。
注意点
遠位十二指腸に関わる症状が疑われる場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。早期診断と適切な治療が予後改善の鍵です。
