回虫(ピンワーム)感染の概要と対策
概要
回虫(Enterobius vermicularis)は、直腸や大腸に寄生する小さく白い線虫です。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、子どもや施設入所者が感染リスクが最も高いとされています。主な症状は肛門周辺の強いかゆみで、特に夜間に顕著です。治療は比較的容易で、重篤な合併症は稀ですが、適切な治療と衛生管理が行われないと再感染しやすくなります。
感染の意義と罹患率
回虫は世界中で広く見られ、年齢・人種・社会経済的背景に関係なく感染します。米国国立衛生研究所(NIH)によると、米国だけで年間約4,000万人が回虫に感染しており、国内で最も一般的な腸内寄生虫です。感染は、衣類・寝具や爪の下に付着した卵を誤って飲み込むことで起こります。まれに卵が空気中に舞い上がり、呼吸によって体内に入ることもあります。
主な症状
最も一般的な症状は肛門周辺のかゆみで、特に夜間に雌虫が肛門から卵を産むためにかゆみが増します。症状が全く出ないケースもありますが、重症例では睡眠障害、食欲不振、体重減少、雌虫が肛門から膣へ移動することによる膣刺激などが報告されています。
診断方法
夜間の肛門かゆみが強い場合は回虫感染が疑われますが、確定診断は虫体または卵の確認が必要です。就寝直後数時間以内に、セルロフィルトテープテスト(テープテスト)を用いて肛門周囲の皮膚にテープを貼り、卵を採取します。そのテープを顕微鏡で検査し、卵が確認できれば診断が確定します。
治療法
治療には処方薬または市販薬(メベンダゾール、ピラントール、アルベンダゾールなど)が用いられます。通常は2回投与し、2回目は1回目から2週間後に行います。感染者だけでなく、同居する家族全員も同時に治療することで再感染リスクを減らせます。寝具、衣類、タオルはできるだけ高温で洗濯し、卵の生存を防ぎます。卵は寝具や衣類上で最大3週間生存可能です。
再感染防止と留意点
特に小児は手洗いや衛生習慣が不十分なため再感染しやすいです。再発が続く場合は、感染源の特定と環境除染が必要です。肛門周辺を掻くと皮膚が破れ、細菌感染のリスクが高まります。また、重篤な合併症として骨盤内炎症性疾患や膣炎が報告されています。
