迷走神経刺激と体重減少
迷走神経について
迷走神経は消化器系と脳を行き来する信号を伝える第10脳神経です。耳や舌からの感覚情報を脳に届け、食欲や満腹感を制御します。延髄から始まり、脳幹から大腸まで長く伸びることから、ラテン語の "wandering"(さまよう)に由来しています。
食欲と満腹感を司るため、体重減少の可能性があると考えられています。研究者はこの神経を調整すれば摂食行動が変わり、肥満患者に健康効果が得られると仮定しました。
VBLOC療法
VBLOC(Vagal Blocking)療法は、迷走神経からの食欲・満腹感シグナルを遮断する装置です。腹腔鏡手術で電極を埋め込み、信号をブロックします。外部から使用できるタイプもあります。
有望な研究結果
VBLOC装置を製造するEnteroMedics社が実施した研究では、肥満患者38名を対象に装置を埋め込みました。その結果、6か月で平均17.9%、12か月で28.1%、18か月で37.6%の余剰体重減少が確認されました。また、糖尿病や高血圧の改善も報告されています。
予期せぬ効果が見られた研究
ミネアポリスの退役軍人医療センターが行った別の迷走神経刺激研究は、重度うつ病患者14名を対象に2年間実施しました。体重減少を目的としたものではありませんが、肥満患者で顕著な体重減少が観察され、食事や運動の変化は報告されませんでした。肥満度が高いほど減少幅が大きいことが分かりました。
今後の展望
迷走神経刺激による体重減少療法はまだ実験段階で、現時点では肥満治療の標準的な選択肢とはなっていません。さらなる研究が期待されます。
