高齢者の心理的問題
認知症
認知症は、脳の神経細胞が損傷されることで起こる徐々に進行する認知機能の低下です。高齢者に主に見られ、65歳以上では約5%、85歳以上では約25%が罹患します。主な症状は短期記憶の喪失、日常生活の遂行困難、落ち着きのなさ、混乱、興奮、睡眠障害などです。根本的な治療法はありませんが、パズルなど脳を活性化させる活動や心理療法が進行を遅らせるとされています。
うつ病
うつ病は、65歳以上の高齢者で約650万人が罹患しているとされ、精神的・感情的・身体的な健康に深刻な影響を与えます。主な症状は不眠、食欲減退、エネルギー低下、自殺念慮などです。高齢者の場合、睡眠障害や長期にわたる抑うつ状態が顕著であり、診断が遅れやすい傾向があります。女性、配偶者を失った方、孤立している方、認知症を抱える方がリスクが高いとされています。治療は、感情を言語化し問題を整理する心理療法と、脳内の化学バランスを整える抗うつ薬の併用が効果的です。
せん妄
せん妄は、薬剤や治療、尿路感染症などに対する反応として高齢者に急激に現れる精神混乱状態です。集中力の低下、注意の切り替え困難、意識障害、現実判断の混乱、脳活動の低下が特徴です。症状は一日の中で変動しやすく、EEG(脳波検査)で脳活動の減慢が確認されます。ハロペリドールなどの薬剤が症状緩和に用いられます。
精神病(統合失調症様症状)
精神病は、気分・行動・思考に影響を及ぼす疾患で、妄想・幻覚・偏執、焦燥、不眠、うつ状態などが現れます。高齢者においては稀ですが、若年者とは異なる経過と治療が必要です。高齢者は精神病エピソード後にうつ状態を併発しやすく、うつの治療が重要となります。
