閉経期の薬と気分変動の対策

閉経は女性の人生の自然な過程であり、病気ではありません。症状が軽度であれば治療は不要ですが、不快感や重い症状がある場合は医師の診断が必要です。まずは主治医や産婦人科医に相談し、閉経の症状であることを確認したうえで、必要に応じて薬物療法が提案されます。

閉経期に使用される薬

閉経期の症状緩和に用いられる代表的な薬には、エストロゲンやホルモン補充療法(HRT)、バイオ同等ホルモン療法、抗うつ薬、血圧降下薬、抗痙攣薬などがあります。また、処方薬以外にもハーブやビタミン、サプリメントが併用または代替として利用されることがあります。

エストロゲン・ホルモン補充療法(HRT)

かつてはエストロゲン単独またはエストロゲンとプロゲステロンの組み合わせであるホルモン補充療法が標準的でしたが、NIHが主導した「女性の健康イニシアティブ(WHI)」の長期研究で、心血管疾患、子宮内膜がん、卵巣がん・乳がん、血栓、脳卒中のリスク増大が指摘されました。そのため、現在は「リスクが利益を上回る」場合は使用を控えるのが一般的です。

ホルモン療法を選択する場合は、最小有効量・最短期間で使用することが推奨されます。例えば、低用量の局所エストロゲン(クリーム、錠剤、リング)を膣内に使用すれば、全身へのエストロゲン負荷を抑えつつ、膣や尿道の乾燥を改善できます。

気分変動・うつ病と抗うつ薬

閉経期に現れる気分の落ち込みや不安は、興味喪失、倦怠感、不眠、食欲減退、絶望感、場合によっては自殺念慮まで様々です。抗うつ薬はセロトニンの変動を調整し、症状緩和に役立ちます。代表的な薬はフルオキセチン(プロザック)、セルトラリン(ゾロフト)、パロキセチン(パキシル)、シタロプラム(セレクサ)、ベンラファキシン(エフェクサー)などです。

抗うつ薬はカウンセリングや心理療法と併用することで効果が高まります。また、一部の抗うつ薬はホットフラッシュの軽減にも寄与します。

ホットフラッシュ(のぼせ)対策

ホットフラッシュに対しては、抗痙攣薬のガバペンチン(ニューロンチン)や高血圧薬のクロニジン(カタプレス)などが症状緩和に使われます。副作用があるため、医師とリスク・ベネフィットを十分に検討する必要があります。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)も約60%の女性でホットフラッシュを軽減すると報告されていますが、性欲低下や性機能障害といった副作用が出ることもあります。

自然サプリメント

処方薬を使わずに症状を和らげようとする女性もいますが、効果は個人差があります。大豆イソフラボン、ビタミンE、ブラックコホシュなどが骨密度低下、ホットフラッシュ、気分変動の緩和に利用されます。ただし、カナダ保健省が2006年に実施した調査では、一部のサプリメントにリスクがある可能性が指摘されています。

代替医療やハーブ療法を試す際は、必ず医師に相談し、予期せぬ副作用や相互作用に注意してください。

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