成長ホルモン補充療法

ヒト成長ホルモン(hGH)は、正常な成長・発達と臓器・組織の維持に不可欠で、下垂体で産生されます。成長ホルモン補充療法は、体内でホルモンが十分に作られない人に対して行われます。近年、若さの維持やスタミナ向上を目的として hGH を求める人もいますが、市販のサプリメントは効果が証明されていません。hGH の注射は処方箋が必要で、医療従事者の管理下でのみ使用できます。

頻度と症状

新生児の約4,000〜10,000人に1人が hGH 欠乏で生まれます。成人期に発症する欠乏は極めて稀で、腫瘍や感染症などの疾患が原因となります。成人で成長ホルモン補充療法が必要になるのは、10万人に1人程度とされています。

hGH が不足すると、以下のような症状が現れます。筋肉量と脂肪量のバランス変化、心拍数の変動、基礎代謝の低下、エネルギー低下・活力不足、骨粗鬆症、皮膚の薄さ・質感・色の変化、睡眠障害、精神的変化などです。hGH 欠乏の成人は心疾患による死亡リスクが高まります。

小児への療法

成長ホルモン補充療法は約40年にわたり、hGH が不足している子どもの身長伸長に使用されています。治療開始から最初の4〜5年が最も顕著な成長促進効果を示しますが、最終的な成人身長は同年齢の平均よりやや低いことが多いです。

また、hGH 補充は骨密度の向上にも寄与します。さらに、hGH 欠乏でなくても身長が低い子どもや、ターナー症候群などの疾患を持つ児童・思春期の患者にも適用されることがあります。

成人への療法

成人や高齢者に対する医療的適応として、hGH 補充は基礎代謝率とエネルギー消費の増加、骨量の改善、認知機能の向上、不安感の軽減、血清カルシウム・リン濃度の上昇などが報告されています(参考文献1)。しかし、骨量増加に関しては研究結果が一致していません。小児期に欠乏が始まった患者は骨量の改善が見られる一方、成人期に欠乏が始まった患者では効果が乏しいとされています。

hGH の「若返り」効果については科学的根拠が不十分であり、自己判断での使用は推奨されません。治療は必ず医師の診断と処方に基づき、定期的なモニタリングが必要です。

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