米国医療保険制度の課題
米国は世界でも屈指の富裕国であり、先端技術が集まる国ですが、医療保険制度に対する不満が多くの国民・居住者から寄せられています。約5,000万人が何らかの保険に加入しておらず、制度全体に根深い問題が潜んでいます。
医療費の高さ
米国の医療費は世界で最も高額です。2005年の平均自己負担額は約6,700ドルで、次に高いカナダよりも約3,300ドル上回っています。雇用主提供の保険料は年々上昇し、企業はその負担を従業員に転嫁するケースが増えています。その結果、多くの労働者が高額なコペイや免除額を支払えず、入院や出産時には数千ドルもの自己負担が必要になることがあります。
処方薬の問題
HMO(健康維持組織)などの保険プランは、保険会社のコスト削減を目的に処方薬の適用範囲を制限することが多いです。一方で米国民は薬への依存度が高く、若年層でも処方薬を使用するケースが増加しています。製薬会社は新しく高価な薬を次々に投入し、患者は最新治療を受けるために高額な費用を負担せざるを得ない状況です。
医師との関係の課題
米国では医師の報酬が診療の質に連動していないことが多く、保険会社と結んだ固定報酬制が主流です。そのため、患者は保険プランのネットワークに合わせて医師を選ぶしかなく、信頼関係や既往歴との相性は二の次になります。また、定期的に主治医を持たない人が多く、予防検診や健康診断を受けないため、医師が患者の全体的な健康状態を把握できず、診療ミスや不適切な治療につながりやすくなっています。
