アルコール依存に対する動機付け面接(MI)の基礎

インタビュー技法

米国ホームレス医療協議会(National Health Care for the Homeless Council)のデビッド・B・ローゼングレン博士は、アルコール依存者への動機付け面接(MI)の5つの主要原則を提示しています。面接者やカウンセラーは、MIの技法を認定された上で実施すべきです。第一の原則は、患者自身の自己認識と実際の行動とのギャップを面接を通じて明らかにすることです。治療者は非評価的な質問を用いて、患者が自ら問題に気づくよう導きます。たとえば、ある女性に「あなたは良い母親ですか?」と問い、続いて「良い母親の資質は何だと思いますか?」、さらに「バーで過ごす時間はどれくらいですか?」と尋ねるような形です。MIではレッテル貼りを避け、患者が自分をどう捉えているかを質問で引き出します。

信頼問題の克服

MIのアルコール治療者は、抵抗が表れたときに「ロール・ウィズ・レジスタンス(抵抗に乗る)」姿勢を取ります。患者が防御的・対立的になると、質問の方向を変えて対話を続けます。治療者は「できる」という自己効力感を患者に植え付けることが重要です。過去に困難を乗り越えた経験や成功体験を語らせ、変化への自信を育てます。また、共感的な態度でオープンかつ正直な雰囲気を作り、患者が感情や過去の行動を率直に共有できるようにします。信頼関係が築かれると、患者は治療者の善意を信じ、協力的に取り組むようになります。

成果

ニューメキシコ大学アルコール・薬物依存センターのウィリアム・R・ミラーらによる研究では、200名以上の患者にカウンセリングを提供し、一部にはMIを、他は従来のカウンセリングを実施しました。その結果、両群間で再発率に有意差は認められませんでした。MIの効果は、患者が否認状態になく、変化への意思があり、治療者がMIの原則を十分に理解し実践できるかどうかに大きく依存します。

精神疾患への対処 - 関連記事