記憶に影響を与える要因とは?

ほとんどの人は記憶の概念を正確に説明できず、影響を与える要因について語ることはさらに難しいです。たとえ専門家でも、記憶は単なる情報の保存ではなく、経験や出来事を作り出し、保持し、呼び起こす複雑なシステムであることを認めています。単一の記憶を呼び起こすだけでも、脳の複数領域が協調して働く高度なプロセスが必要です。

感情

かつては、出来事に伴う感情の種類が記憶の保持に直接影響すると考えられていましたが、近年の研究では必ずしもそうではないことが分かっています。感情そのものが記憶力を高めるわけではなく、感情がその出来事に対する反応や評価に影響を与えます。たとえば、ディナーで喜びを感じた場合、後でその食事について尋ねられると、肯定的な印象を持ちやすくなります。

状態

身体的・環境的な状態も記憶に大きく関わります。記憶が形成されたときの心身状態が再現されると、同じ情報を思い出しやすくなることが研究で示されています。代表例としてアルコールがあります。酔った状態で経験した出来事は、再び酔ったときに思い出しやすくなります。同様に、場所が同じであることも記憶の呼び起こしを助けます。

酔った状態の人は酔っているときに起きたことを覚えやすい。

年齢

年齢とともに記憶力は低下する。

加齢と記憶の低下には強い関連性があります。年を取るにつれて脳細胞が減少し、情報の保存に関与する神経伝達物質であるアセチルコリンの生成が低下します。アセチルコリンが不足すると、蓄積された情報や記憶を取り出すことが次第に困難になります。また、加齢に伴い脳全体の効率が低下し、特に最近の出来事の記憶が衰えやすく、長期記憶や短期記憶への影響は比較的緩やかです。

干渉

干渉とは、最近取得した情報やすでに保存された情報が、正確な記憶の呼び出しを妨げる現象です。主に「逆行性干渉」と「前向性干渉」の二種類があります。逆行性干渉は新しい情報の符号化が過去の記憶を乱す場合です。例として、最初に学んだ米国大統領がジョージ・ワシントンであることを覚えていても、後からジョージ・ブッシュという別の大統領を学ぶと、ワシントンの名前が思い出しにくくなることがあります。前向性干渉は過去の記憶が新しい情報の想起を阻害する場合で、逆にブッシュの名前が思い出せず、ワシントンの名前だけが残るといったケースです。

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