明示記憶の問題とその影響

明示記憶(宣言的記憶)は長期記憶の一種で、意識的に情報を思い出すことができる記憶です。主に側頭葉が関与していると考えられ、小脳の上部・後頭葉の前に位置します。記憶は互いに結びつき、繰り返し想起することで強化されます。

健忘症(アムネジア)

健忘症は事実や経験といった明示記憶が失われる状態です。実際には自己認識が失われるケースは稀で、ほとんどの患者は自分が誰かを知っているものの、新しい記憶を形成しにくくなります。脳への損傷が主な原因で、永続的になることもあります。記憶力向上トレーニングや心理的サポートが回復を助けることがあります。

アルツハイマー病

アルツハイマー病は明示記憶を徐々に障害し、最終的には記憶が全く呼び起こせなくなる進行性の疾患です。計画力・言語・知覚といった認知機能も低下します。神経細胞が劣化・死滅することで症状が進行し、現在のところ根本的な治療法はありませんが、症状緩和や進行抑制のための対策はあります。

外傷性脳損傷

体を鍛えるように、心と記憶もトレーニングで強化できます。

外傷性脳損傷は、重度の衝撃や銃弾・破片などの侵入物により、明示記憶を司る脳領域が物理的に損傷されることで起こります。記憶喪失は一時的なこともあれば、永続的に残ることもあります。リハビリテーションとしての認知トレーニングやメンタルエクササイズが回復に寄与する可能性が研究されています。

幼児とパートナー間暴力目撃

南部メソジスト大学とテキサス大学サウスウェスタン医学センターの研究によると、親の一方が行う親密パートナー間暴力を目撃した幼児は、明示記憶の機能が低下することが示されました。事後に母親がポジティブな育児を実践すると、子どもの記憶障害の影響が緩和されることが報告されています。

脳震盪とスポーツ障害

脳震盪や頭部への衝撃は、明示記憶に問題を引き起こすことがあります。プロや大学のフットボール選手に見られるように、軽度でも繰り返しの頭部打撃は脳に深刻な影響を与え、記憶障害を悪化させる可能性があります。

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