アルコール依存が及ぼす身体・精神への影響

米国国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)は、アルコール依存を「飲酒の制御が失われ、強迫的に飲酒し、飲酒への執着、耐性、離脱症状が現れる状態」と定義しています。依存は飲酒の濫用につながり、個人の生活や学業・仕事に深刻な影響を及ぼし、危険行動や法的問題を招くことがあります。長期的には、脳・肝臓・精神に甚大な損傷を与えます。

脳への損傷

長期間にわたるアルコール依存は、ウェルニッケ脳症を引き起こすことがあります。これは精神的混乱、協調運動障害、眼球運動を司る神経の麻痺などが特徴の急性疾患です。診断が見逃されやすいのは、症状がすべて揃わないことが多いためです。ウェルニッケ脳症患者の80〜90%は、記憶障害を主症状とするコルサコフ症候群へ進行します。

肝臓への損傷

アルコール性肝硬変は、肝臓の組織が瘢痕化し血流が阻害され、最終的に肝不全に至りますが、アルコール依存者全体の5〜10%にしか見られません。むしろ「脂肪肝」の方が一般的で、肝臓に脂肪が蓄積し炎症や細胞死を引き起こし、肝硬変の前段階となります。

精神的な損傷

米国フロリダ大学医学部の調査によれば、アルコール依存者の約40%が何らかの精神疾患を併発しており、双極性障害、統合失調症、社交不安障害が多く報告されています。アルコールはこれらの症状を悪化させ、精神科治療の効果を減弱させます。

メンタルヘルス(一般) - 関連記事