自然災害時に健康を守るための実践ガイド
ここ数か月で、米国や世界各地で起きた自然災害のニュースが絶えません。30年以上の臨床経験を持つ医師として、救急室で「緊急事態は起こらない」という格言がいかに現実的かを実感しています。救急スタッフは常に緊急事態に備えており、災害がドアを叩くと瞬時に対応します。家族が同じレベルの訓練を受ける必要はありませんが、災害時に「炎上するタワー」のような状況に陥らないよう、最低限の備えは必要です。
自然災害は警告なしに人々の生活を揺るがします。近くで起きるものもあれば、直接自宅が被害を受けることもあります。健康な人でも「直撃」に対処するのは大変です。そこに慢性疾患が加わると、課題はさらに増大します。
洪水、ハリケーン、地震などの自然災害は、性別・年齢・宗教などに関係なく同等に影響を与える「医療の平等化装置」です。慢性疾患を抱えている方、あるいはその家族は、事前の準備が最も重要です。本記事では、災害時に自分と家族の健康を守るための具体的な準備項目と実践手順を紹介します。
必要なもの
- 医療災害用キット(情報と備品)
- 処方薬・市販薬の「緊急」予備分(最低2週間分)
- 医療情報リスト(病名・アレルギー・担当医など)
- ハンドサニタイザーの十分な備蓄
- 必要に応じたその他の書類(リビングウィル、医療代理人指示書など)
手順
医療災害キットと計画を作成する。FEMA のガイドライン(https://www.fema.gov/areyouready/)を参考に、個人のニーズに合わせたキットを無料でダウンロードし、慣れ親しんでおく。
慢性疾患の薬は常に2週間分の予備を確保する。保険会社に「バケーションリフィル」プログラムの有無を確認し、早期補充が可能か相談する。余った薬は毎月ローテーションして期限切れを防ぐ。
自分の氏名・身分情報、食物・薬物アレルギー、病名、担当医の連絡先、手術歴、現在服用中の薬と用量を詳細に記したリストを作成し、定期的に更新する。薬局でラベルを印刷して添付すると便利。
リビングウィルや医療代理人指示書がある場合は、上記リストと一緒に保管しておく。
災害時に最も重要なのは、慢性疾患をできるだけ安定させること。血圧薬や血糖測定など、日常の治療を怠らない。
水分補給と手洗いを徹底し、怪しい食べ物や飲み物は絶対に摂取しない。
手洗いは感染拡大防止の最重要策。自分だけでなく、家族全員の手指衛生を常にチェックする。
キットだけでなく、家族全員で災害時の役割分担や避難場所を話し合う「家族会議」を実施する。会議中は携帯電話は電源オフにし、集中できる環境を作る。
家族だけの合言葉(コード)を決め、緊急時に即座に注意を喚起できるようにする。冗談で使わないことが重要。
まずは手を洗い、必要な情報を整理し、今日から家族会議を設定しよう。
