麻酔の歴史と発展

麻酔はギリシャ語で「感覚がなくなること」を意味します。古代から感覚を鈍らせる試みは数多く行われ、オピウムや大麻、ジムソンウィード、ベラドンナなどが痛みを和らげる手段として利用されました。しかし、アルコールの大量摂取は嘔吐による窒息の危険があり、顎への強打で意識を失わせる方法は原始的で危険でした。

エーテルとクロロホルム

スペインの化学者レイモンドゥス・ルリウスが1275年にエーテルを発見し、16世紀中頃には吸入すると催眠効果があることが分かっていました。1794年にイギリスの医師が熱や壊血病、呼吸器疾患の治療に使用し、1805年には米国の医師が肺炎治療にエーテルを投与しました。1847年、スコットランドの産科医サー・ジェームズ・ヤング・シンプソンは出産時の麻酔としてクロロホルムを導入しましたが、予測できない副作用が問題となりました。

クロフォード・ロング博士

19世紀初頭、エーテルは若者の間で「陶酔感」を得るために吸入されていました。医師兼薬剤師のクローラッド・W・ロングは大学でエーテルを学び、1842年にエーテル麻酔下で首の腫瘍を除去しました。しかし、結果を数年後に発表したため、功績は広く認められませんでした。

ホレー・ウェルズ博士

コネチカット州ハートフォードの歯科医ホレー・ウェルズは、1777年に発見された亜酸化窒素(笑気)が麻酔に有効であることを証明しようとしました。自身が笑気の影響下にある状態で同僚に歯を抜かせた際、痛みを感じなかったと報告しています。しかし、同じく公の場で行った実演が失敗に終わり、笑気麻酔は一時的に疑問視されました。

ウィリアム・モートン博士

1846年10月16日、ボストンの歯科医ウィリアム・モートンはエーテルを使用した手術を成功させました。エーテルで飽和させたスポンジをガラス製の吸入装置にセットし、患者は手術中意識を失いました。エーテルは古くから知られていたため、特許取得はできませんでした。

功績争いと論争

ロング、ウェルズ、モートン、そしてハーバード大学の化学者チャールズ・T・ジャクソンらは、麻酔の発見者としての功績を主張しました。ジャクソンはウェルズと笑気やエーテルの特性について議論し、モートンにエーテルの有用性を説得しました。結果として、エーテルを用いた1846年の手術が歴史的に認められましたが、各自が先駆者であることを証明しようと長年争い続けました。

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