アルゴンガスの副作用と医療利用
アルゴンは自然に存在する不活性ガスで、地球の大気中に約0.94%、火星の大気中に約1.6%含まれています。無色・無臭で化学反応性が低く、電球や蛍光管、アーク溶接のシールド、チタン製造のブランケット、医療分野など幅広く利用されています。
ガス塞栓
1999年2月にドイツの医学誌『Der Chirurg(ザ・サージャン)』に掲載された研究では、実験動物に静脈内注入したアルゴンが血液中での溶解度が低いため、ガス塞栓のリスクが高まることが示されました。3匹の動物のうち2匹が心臓ショックで死亡し、残り1匹は蘇生に成功しました。対照群に同量の二酸化炭素を投与した場合は塞栓が認められませんでした。アルゴン注入は肺動脈圧の上昇と心拍出量の低下を引き起こしました。
アルゴンプラズマ凝固装置(APC)
APCは内視鏡検査で非接触熱凝固を行う装置です。柔軟内視鏡の先端から低出力・低流量のアルゴンガスを放出し、血管病変の止血に使用されます。直腸出血の治療で有効とされていますが、短期的副作用として14%の患者に直腸痛・排便不全感・腹部膨満感が、長期的には19%に直腸痛・排便不全感・下痢が報告されています。
クライオセラピー(凍結療法)
クライオセラピーは液体窒素またはアルゴンガスを用いて組織を凍結し、がん細胞などの病変を破壊する治療法です。内部組織に対しては画像誘導下でクライオプローブを使用し、アルゴンガス供給源は米国食品医薬品局(FDA)に承認されています。主な合併症は出血、隣接臓器損傷、感染、神経障害、肺周囲の液体貯留などです。治療成功率は手術や放射線療法と同程度とされています。
