人間・動物胚を用いた疾患治療のアプローチ

はじめに

ヒトや動物の胚を利用して病気を治療する研究は、医学の未来に大きな期待が寄せられています。しかし、ヒト胚を使用することは「生命はいつ始まるのか」や「倫理的に許容できるか」といった重要な問題を提起します。一方、動物胚の利用は倫理的な議論が比較的少なく、実際にヒトの疾患治療に成功した例も報告されています。

必要なもの

  • 高度な研究施設
  • ヒト胚性幹細胞
  • 動物胚性幹細胞

手順

  1. ヒト幹細胞の種類

    医療研究で使用される幹細胞は大きく分けて2種類あります。成人幹細胞は心臓、肝臓、脳などから採取でき、患者自身の細胞であるため拒絶反応のリスクが低いです。胚性幹細胞は受精卵が受精後に余剰となり、妊娠に使用されない場合に不妊治療クリニックから回収されます。本来は廃棄されるはずの胚から得られるため、資源の有効活用という観点もあります。

  2. 動物胚性幹細胞の利用

    動物胚は取得が比較的容易で、倫理的な議論が少ないことから研究が進めやすいです。例えば、イスラエルのプロジェクトでは胎児豚細胞を用いてサルの1型糖尿病を治療した成功例があります。豚などの動物は細胞構造や代謝面でヒトに類似しているため、移植研究の対象として注目されています。

  3. ヒト幹細胞を用いた研究例

    近年はヒト胚性幹細胞研究に対する規制が緩和されつつあり、パーキンソン病、糖尿病、多発性硬化症、脊髄損傷などの治療法開発が期待されています。ワシントン大学のトーマス・レ博士は、胚性幹細胞から大量の網膜光受容体細胞を作製し、失明治療への応用を目指しています。

  4. 動物幹細胞を用いた研究例

    動物胚性幹細胞の実用化に向けた成果として、イスラエルのワイツマン研究所が行った実験があります。胎児豚の胚性幹細胞を注入したサルは、5か月後に自らインスリンを産生し、血糖値が正常化しました。インスリン自体は豚由来ですが、産生血管は宿主のものです。ヒトで同様の結果が得られれば、1型糖尿病の根本的治療法として定着する可能性があります。

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