下垂体手術における主な合併症と対策

下垂体腫瘍は、ホルモンを過剰に分泌する「分泌性」と、ホルモン分泌はないがサイズや位置の問題で手術が必要になる「非分泌性」の2種類があります。薬物療法が効果的でない場合や腫瘍が大きい場合に外科的切除が選択されます。

手術の概要

下垂体は頭蓋底の鞍(サラ)に位置し、手術は多くの場合、鼻の奥にある蝶形骨洞を通じて行われます。外科医はカメラ付きの細い内視鏡を挿入し、下垂体を確認します。腫瘍が大きい場合は小さく切り分け、洞内から摘出します。

下垂体自体の損傷

ハーバード大学の神経内分泌臨床センターと下垂体腫瘍センターによると、手術で最も頻繁に起こる合併症は下垂体そのものの損傷です。腫瘍が下垂体の神経束に巻き付くことがあり、摘出時に下垂体が傷つくことがあります。損傷が生じた場合は、コルチゾール、成長ホルモン、エストロゲン、テストステロンなどのホルモン補充療法が行われます。

尿崩症(DI)

腫瘍が下垂体後部にある場合、手術でその部位が損傷すると尿崩症を起こすことがあります。下垂体腫瘍手術患者の1〜2%に見られ、頻尿と強い渇きが主な症状です。薬物療法でコントロールでき、手術後1〜2週間で改善することが多いと米国がん協会は報告しています。

頸動脈損傷

ごく稀に、下垂体の両側に走行する頸動脈が手術中に損傷することがあります。出血や血栓が生じると脳卒中や致命的な結果につながります。また、腫瘍が鞍内に残り出血すると、血栓が視神経を圧迫し一時的な視力低下を引き起こすことがあります。その場合は追加の手術が必要です。

脳脊髄液漏

下垂体腫瘍の除去時に脳脊髄液が漏れ、髄膜に浸入すると髄膜炎を起こすリスクがあります。この合併症は全手術の約1%で報告されており、修復のために再手術が必要です。

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