インド西ガーツ山脈(サハイアドリ山脈)の薬用植物
サハイアドリ山脈(Western Ghats)は、インド西部に約1,600km(約1,000マイル)にわたって伸びる山岳帯です。世界の生物多様性ホットスポットのトップ10に選ばれ、5,000種以上の植物が生息しています。これらの植物はアーユルヴェーダなどのインド伝統医学で重要な役割を果たし、近年は世界的な利用を目指した研究が進められています。
バエル(Bael)
バエル(Aegle marmelos)は、西ガーツ山脈の乾燥林に自生する中型の果樹です。樹高は約18メートルに達し、細長い姿勢ととげのある枝、芳香の花が特徴です。果実は滑らかな皮を持ち、外観は梨に似ますが外皮は非常に硬いです。アーユルヴェーダでは、鼻炎やドライアイから赤痢や寄生虫まで幅広い症状に用いられ、特に慢性便秘や腸閉塞の治療に重宝されています。
ブラーミ(Brahmi)
ブラーミ(Bacopa monnieri、別名ウォーターヒッソップ)は、西ガーツ山脈の湿地や沼地に自生する多年草です。小さく肉厚な葉と春に咲く白い小花が特徴です。全草が薬用とされ、主に精神のトニックとして使用されます。抗不安作用や認知機能向上、鎮静作用、記憶力向上の効果が期待されます。
ジョティシュマティ(Jyotishmati)
ジョティシュマティ(Celastrus paniculatus)は、インド全土に分布し、西ガーツ山脈の低地に多く見られる大型のつる性低木です。葉は卵形で、緑がかった小さな花を咲かせます。空中部全体が薬用とされますが、特に種子の油が重宝され、抗痙攣作用や熱を上げる薬効があり、痛風やリウマチの治療に利用されます。味は非常に苦く、甘草や砂糖と混ぜて調合されます。
クタジ(Kutaj)
クタジ(Holarrhena pubescens)は、インド熱帯部に自生する小型の落葉樹です。樹皮は赤褐色で粗く、葉は約10cmの卵形でやや鋸歯があります。西ガーツ山脈の個体は種子が豊富に結実しますが、成長は遅く、年平均伸長は約10cm程度です。アーユルヴェーダでは、樹皮と根が主に利用され、下痢や赤痢、特にアメーバ赤痢の治療に用いられます。
