適応力を備えた薬用植物
薬用植物は多様な環境に生息し、乾燥した砂漠や深い池、寒冷な北極、熱帯の森林など、ほぼどこでも成長できる適応機能を持っています。本稿では、代表的な薬用植物とその環境適応について紹介します。
スイレン(Water Lilies)
スイレンの花や根茎は古くから民間薬として利用されてきました。白スイレン(Nymphaea alba)や黄スイレン(Nuphar luteum)は、出血を止める収斂作用があります。スイレンは泥底に根を張り、長い茎で水面まで葉を伸ばすことで深い池でも生育します。酸素が乏しい泥の中でも、若い葉から空気が根へと送られ、根で酸素を供給し、老葉からは二酸化炭素などの老廃ガスが大気へ放出されます。
ウチワサボテン(Prickly Pear Cactus)
ウチワサボテンは血糖値を下げる効果があり、糖尿病患者の薬として利用されています。乾燥に強い「乾燥植物(xerophyte)」で、葉は棘となり水分蒸散を防ぎます。多肉質の茎は大量の水分を蓄え、長期間の乾季でも生き延びられます。雨が降ると浅い根がすぐに水分を吸収します。
北極ヤナギ(Arctic Willow)
北極ヤナギの樹皮はアスピリンの原料となるサリシンを含み、エスキモーは歯痛の緩和に利用していました。極寒の環境に適応するため、根は地表近くに密集し、凍結した土壌のすぐ上に伸びます。また、低く成長し風害を受けにくく、葉の微細な毛が寒さから保護します。
デンドロビウム・ノビレ(Dendrobium nobile)
中国伝統医学ではデンドロビウム属のラン、特にデンドロビウム・ノビレが利用されています。このランは湿潤な熱帯森林に適応し、土壌ではなく樹上に着生します。雨や落葉から得た水分とミネラルを直接吸収して成長します。
