1996年、リチャード・スモリーはノーベル賞を受賞し、炭素ナノチューブ(フラーレン)の構造を解明しました。彼はこの材料が赤外線を放出し、体内で観測できることを発見し、ジョン・カンジウスと共同で、がんを安全かつ非侵襲的に治療する方法の研究を進めています。
ジョン・カンジウスの背景
ジョン・カンジウスは白血病を患い、36回の化学療法を受けました。その経験から、がん細胞だけを選択的に破壊できる新たな手段が必要だと考え、ラジオ波が特定の物質に反応する仕組みを利用した治療法の開発に取り組み始めました。
スティーブン・カリーとの共同実験
カンジウスはホットドッグにラジオ波を照射する実験から始め、スティーブン・カリーとともに使用するミネラルを検討しました。最初は銅を用いていましたが、炭素ナノチューブに切り替えることで、ラジオ波がナノチューブに吸収され、がん細胞だけを熱で破壊できることが確認されました。
炭素ナノチューブによるがん細胞の破壊
炭素ナノチューブでがん細胞をコーティングし、ラジオ波を照射すると、ナノチューブが熱を発生させて細胞を死滅させます。手術や化学療法と異なり、体への負担が少なく、正常組織はほとんど影響を受けません。
ナノチューブの漏れによる副作用
実験では一部のナノチューブが組織から漏れ出し、約2.5mmの健康な組織が熱で損傷するケースが報告されています。これはナノチューブの安定性と配置精度の課題を示しています。
その他の課題
ラジオ波は水中での透過性が低く、人間の体は約60%が水分で構成されているため、深部まで十分にエネルギーを届けることが難しい点があります。また、ナノチューブをがん細胞だけに選択的に結合させる技術も未だ確立されていません。
これらの課題を克服できれば、放射線と炭素ナノチューブを組み合わせた治療は、がん患者にとって安全で効果的な新しい選択肢となり得ます。
