後弯症(キフォーシス)の原因と対策
キフォーシス(後弯症)は、背骨の上部が前方に過度に曲がる状態で、俗に「丸背」や「猫背」と呼ばれます。正常な背骨の湾曲は約20度程度ですが、45度以上になると医学的に後弯症と診断されます。年齢を問わず発症し、原因は多岐にわたります。軽度の場合は日常生活への支障は少ないものの、重度になると痛みや呼吸障害など深刻な合併症を引き起こすことがあります。
種類
背骨は胸椎と呼ばれる12個の骨から構成され、肋骨と連結しています。後弯症はこの胸椎に影響を及ぼします。主なタイプは以下の通りです。
- 姿勢性後弯症:主に子ども(特に女児)に見られ、姿勢の悪さや前かがみが原因で靭帯が伸び、椎骨の成長が不均衡になります。
- シューアーマン後弯症:10〜15歳の思春期の子ども(多くは男児)に発症し、椎骨が異常に成長して湾曲が生じます。原因は不明です。
- 先天性後弯症:胎児期に脊椎が形成異常を起こすことで生まれつき存在します。
- 後天性後弯症:骨粗鬆症、関節炎、結核、癌、脊髄二分症などが成人期に背骨を変形させます。
症状・影響
軽度の場合は症状がほとんど現れませんが、典型的な症状は以下です。
- 背中の丸み(猫背)
- 背部の痛みやこわばり
- 骨粗鬆症による椎骨骨折が原因で起こる二次的な後弯症
- 結合組織障害を持つ人は猫背になりやすい
診断方法
医師はまず「前屈テスト」を行い、患者が腰から前に倒れた際の背部の曲がり具合を観察します。その後、X線検査で湾曲角度や椎骨の変形を評価します。成人の場合、関節炎や骨粗鬆症の所見がX線に映ります。呼吸困難が疑われる場合は肺機能検査も実施します。
考慮すべき点
後弯症は外見上の変形だけでなく、以下のような問題を引き起こすことがあります。
- 自己イメージの低下や精神的ストレス
- 持続的な背部痛による日常生活の制限
- 胸郭が圧迫され肺活量が低下し、呼吸が困難になる
- 重度の場合、脊髄や神経根が圧迫され足の筋力低下やしびれが生じることもあります。
予防・治療
治療は症状の重症度に応じて選択します。
- 軽度:背筋強化エクササイズや姿勢指導、必要に応じて鎮痛剤を使用します。
- 中等度:コルセットや背部ブレースを装着し、成長期の子どもの場合は骨の伸びを抑えて湾曲の進行を防ぎます。
- 重度:手術が検討されます。椎体間に自家骨(骨盤から採取)や人工インプラントを入れ、金属棒・スクリューで固定し、背骨を矯正します。
予防策としては、日常的に正しい姿勢を保ち、背筋を鍛える運動を取り入れることが重要です。また、骨粗鬆症のリスクがある人はカルシウム・ビタミンDの摂取と定期的な骨密度検査を受けることが推奨されます。
