上腕二頭筋腱損傷の診断と治療
上腕二頭筋腱損傷の概要
上腕二頭筋は上腕の前面に位置し、肩部から始まる2本の腱と前腕の橈骨(尺骨)に付着する1本の腱の計3本から構成されます。これらの腱は、上腕二頭筋を肩関節と肘関節にしっかりと固定し、前腕の屈曲や回外(外旋)を可能にします。
腱に損傷が起きると、腕の筋力が低下し、肘を曲げたり前腕を回す際に痛みや違和感が生じます。患部の腫れや、肘部の打撲痕が見られることもあります。
診断は主に臨床的な腕の評価で行われます。筋肉がまだ連続している場合は部分断裂、腱が完全に切断されている場合は筋肉が浮き上がり、腕に膨らみが見られます。必要に応じてMRI検査で損傷範囲を詳細に確認します。
部分的な上腕二頭筋腱損傷
部分断裂では腱が完全に切れていないため、腕を曲げて上腕二頭筋を収縮させたときに僅かな違和感や痛みが残ります。
治療は主に安静とリハビリテーションです。腫れを抑えるために氷で冷却し、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用します。筋肉と腱の柔軟性・可動域を回復させるために、上腕二頭筋の強化エクササイズを段階的に行います。
完全な上腕二頭筋腱損傷
完全断裂では腱が完全に裂けてしまい、外科的治療が必要です。損傷が比較的新しい場合は腱の修復手術が行われますが、時間が経過した慢性損傷ではドナー腱を用いた再建術(移植)を行います。移植腱は前腕の橈骨側に固定し、縫合で固定します。術後はスプリントで腕を保護します。
手術後6週間ほどは安静を保ち、徐々に上腕二頭筋の強化エクササイズを開始します。重いものを持ち上げる動作は術後最低6か月は避けるよう指導されます。
