牽引の概要
牽引は、主に頸部や腰部の椎間板損傷など、筋骨格系の損傷を安定させる治療法です。椎間板を引き離すことで圧迫を軽減し、自然治癒を促します。近年は、患者が仰向けになると重力で引き離しが緩むため、使用頻度は減少していますが、頸椎に対する手動・機械的牽引は依然として行われています。
手動頸椎牽引
頸椎の椎間板障害を抱える患者に対し、手動で行う牽引はまず試みられます。患者はパッド付きの平らなテーブルに仰向けに寝かせ、医師が首の下部(下頸部)に力を加えます。首を約30度屈曲させた状態で行うと、脊髄神経への圧迫が緩和され、筋肉の痙攣や緊張が減少します。ただし、手動牽引は構造的な変化をもたらすわけではなく、痛みの緩和や筋緊張の緩和が主な効果です。
機械的頸椎牽引
機械的牽引では、ハルターやサンダー牽引装置などの専用機器を使用します。患者の頭部をベルトで固定し、頭部の両側にパッドを当てて頸椎に均等な圧力をかけます。圧力は30秒間を目安にかけ、通常は15〜20ポンド(約7〜9kg)以下に制限します。
注意点
過度な圧力を加えると、頸椎の筋肉や椎間板、靭帯に深刻な損傷を引き起こす恐れがあります。特に関節炎患者は牽引により関節痛が悪化するため、使用を避けるべきです。
