前庭神経炎とは何か?
概要
耳には前庭神経があり、頭部の動きを脳に伝えてバランスを保ちます。前庭神経炎はこの神経の炎症で、情報が混在し、正しい信号と誤った信号が同時に送られるため、めまいや回転性のふらつき(ヴァーティゴ)が生じます。
原因と特徴
主な原因は以下の通りです。
- ウイルス感染や細菌感染による炎症
- 耳内の腫瘍や嚢胞
- 神経疾患の発症
- 耳への血流低下
前庭神経は平衡感覚のみを司るため、炎症が起きても聴力には直接影響しません。
経過と留意点
米国で報告されている前庭神経炎の約90%は一度きりの発症で、再発はほとんどありません。もし頻繁に症状が出る場合は、前庭神経炎とは別の長期的な前庭障害(例:片頭痛性ヴァーティゴ)と診断されます。
治療法
治療の基本は症状緩和と炎症除去です。
- 抗めまい薬・制吐薬で急性症状をコントロール
- ステロイド投与によりウイルス性炎症を抑制
多くの患者は適切な薬物療法により早期に回復します。
注意点・合併症
一部の患者では回復後も頭部の急激な動きや激しいスポーツに対する不安感が数年続くことがあります。ほとんどは最終的に完全回復しますが、放置すると炎症が内耳全体に広がり、ラビリンス炎となり聴力低下を招く恐れがあります。
