分泌性下痢の原因とは
分泌性下痢とは
分泌性下痢は、消化管が水分を十分に吸収できず、腸管から過剰に水分が分泌されて起こる下痢です。健康な人では、小腸の腔内に大量の水が分泌されますが、ほとんどが大腸に到達する前に吸収されます。分泌が吸収を上回ると、水分バランスが崩れ、下痢が生じます。
コレラ
先進国ではほとんど根絶されていますが、衛生状態が不十分な地域では依然として主要な原因です。コレラ菌(Vibrio cholerae)が産生するコレラ毒素は、腸上皮のサイクリックAMPを活性化し、クロライドチャネルを開くことで水分の分泌を促進します。その結果、腸管は過剰な水分を吸収できず、激しい下痢が起こります。また、腸神経系にも影響を与え、独立した水分分泌を刺激します。
細菌性毒素
コレラ以外にも、腸管に分泌性下痢を引き起こす細菌毒素は多数あります。代表的なのは食中毒の原因となる大腸菌(E. coli)などです。これらの毒素はコレラと同様に腸上皮のイオンチャネルを操作し、過剰な水分分泌を誘発します。十分な水分補給が行われないと、重篤化する危険があります。未調理の肉や不適切に保存された食品に汚染された細菌が原因となります。
薬剤・その他の原因
喘息、うつ病、心臓病の治療薬など、一部の医薬品は副作用として分泌性下痢を引き起こすことがあります。対策としては、投与量の減少や別の薬剤への変更が検討されます。また、ヒ素やキノコ毒、殺虫剤、過剰なカフェイン摂取などの有機毒素も分泌性下痢の原因となります。
